伊豆の伝統 ワサビ沢畳替え 天城湯ケ島組合、後世に継承へ

 伊豆市の天城湯ケ島山葵(わさび)組合は16日、伝統の畳石式ワサビ沢の石積みを組み替える畳替えを同市湯ケ島の「桐山わさび沢」で行った。世界農業遺産に認定されているワサビ栽培を後世に継承しようと、若手も作業に参加した。

ワサビ沢の畳替えに取り組む参加者=伊豆市湯ケ島の「桐山わさび沢」
ワサビ沢の畳替えに取り組む参加者=伊豆市湯ケ島の「桐山わさび沢」


 畳石式は湧水を活用し、上流から下流への水流によってワサビ沢に水を巡らせる栽培方法。明治時代から始まり、「伊豆式」とも呼ばれる。適地が限定され、新規開田は難しいとされる。
 畳石式では大小さまざまな石や砂利を大きさごとに積み上げて層を作る。組合によると、隙間に泥がたまり水が浸透しにくくなると、ワサビの根に水が届かなくなるため、20~30年に1度は畳替えが必要。畳替えにより作柄も良くなるという。
 作業には組合員約20人が参加。約10平方メートルの区画で深さ30~40センチほどまで掘り返して泥をかき出し、石の高さを細かくそろえながら積み直した。
 作業を行ったワサビ沢では2年に1回、1区画ごと畳替えを行い、若手生産者に体験してもらっている。組合最年少の浅田藤紀さん(23)=同市=は「ベテランの方々からの指導は勉強になる。ワサビ生産において自分のできる幅が広がる」と話した。渡辺昌英組合長(67)=同市=は「市場が求める高品質なワサビを作り続けられるよう、抜かりなくやりたい」と述べた。

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