脳動脈瘤の手術支援へ装置 血管形状、立体的に表示 ソフト開発のアールテック(浜松)

 ソフトウエア開発のアールテック(浜松市中区)は、脳血管やカテーテルの画像をリアルタイムで立体的に映しだし、医師の手術を支援するシステムの開発を進めている。くも膜下出血につながる脳動脈瘤(りゅう)の手術で、半数近くを占める開頭手術に代わって、患者への負担が軽い手術の普及を後押しする。現在は臨床試験を進めていて、1年から1年半後をめどに医療機器の認証を取得し、市場導入を目指す。

新システムのAI技術を説明する担当者=14日、浜松市中区のアールテック
新システムのAI技術を説明する担当者=14日、浜松市中区のアールテック
血管やカテーテルを立体的に映す新システムの画像イメージ
血管やカテーテルを立体的に映す新システムの画像イメージ
新システムのAI技術を説明する担当者=14日、浜松市中区のアールテック
血管やカテーテルを立体的に映す新システムの画像イメージ


 新システムはエックス線透視撮影装置で2方向から撮影した画像を、人工知能(AI)で3次元画像にする仕組み。医師にとっては、従来の画像に比べて血管の形状や、挿入したカテーテルなどの手術装置を見失わず、自由な角度から把握できるようになる。
 カテーテルを用いたコイル塞栓(そくせん)と呼ばれる手術は患者負担が軽い一方で難易度が高く、国内で年間約3万5千件の脳動脈瘤治療のうちの5割ほどにとどまっている。より安全に高度医療を実現させようと同社は2018年から3次元化の開発を始めた。
 病院から提供を受けた画像を基に、AIで自己生成した100万件のデータを別のAIに学習させることで、システムの精度を高めた。複雑な血管や1・5ミリ程度の細い血管にも対応できるよう東北大や産業技術総合研究所(産総研)と連携して改良し、2月から臨床試験に入った。
 コイル塞栓の国内市場は成長途上で海外への事業展開も視野に入れる。小杉隆司社長は医療機器のうち、特にコイル塞栓関連は海外製品が占める割合が高いことを指摘し、「信頼性のあるシステムで海外に打って出たい」と強調した。
 同社の従業員は役員を含め8人。2022年9月期の売上高は約1億6千万円。建設現場を3次元画像でとらえ、遠隔で進捗(しんちょく)管理できるシステムの開発も進めている。

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