つくだ煮 女性向け新味 難局打破へ魚種多様化 焼津の老舗4代目開発

 創業107年のマグロつくだ煮製造販売「寺岡銈吉商店」(焼津市)の4代目寺岡舞代表(35)が同世代の女性向け新商品「やいづのびんづめ」を開発した。つくだ煮の消費が先細りしていく状況に危機感を感じ、一念発起して代表就任後初の商品開発に乗り出した。

寺岡代表が開発した新商品「やいづのびんづめ」=焼津市焼津6丁目
寺岡代表が開発した新商品「やいづのびんづめ」=焼津市焼津6丁目

 素材は従来のマグロに加え、カツオやサバを使用。いずれも焼津漁港で水揚げされた魚を採用し、ゆでていぶす伝統製法で作った。味付けは従来の砂糖やしょうゆをベースに、みそや塩、からしなどを素材ごとに加えて、全体的に薄味に仕上げた。
 開発に着手したのは昨年夏。きっかけは原料となるマグロの不足。新型コロナ禍の影響で漁に出る機会が減ったことが要因で、「マグロだけに頼っていてはまずい」(寺岡代表)と原料の多様化を模索した。顧客の高年齢化もひしひしと感じ、経営を持続させるために新たな層を確保しようと同じ30代女性にターゲットを定めた。
 ターゲット層を念頭に置きながら、原料や味付け、容器といった検討項目を一つ一つクリアしていった。異業種の商品開発経験者に試食してもらい「方向性が分からない」など忌憚(きたん)のない意見ももらい、試行錯誤の末、商品完成にこぎ着けた。専門家の指導を受け、商品の味付けに合うレシピも作成した。
 7年前に代表就任してから、商品開発に取り組んだのは初めて。寺岡代表は「焼津の食文化の継承に向けて挑戦を続けたい」と意欲を示す。1瓶千円(税込み)。

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