戦後世代、教訓伝える側に 戦争の語り部 浜松市が育成

 浜松市と市戦没者追悼平和推進協会は本年度、太平洋戦争の体験者に代わって教訓を語り継ぐ「次世代の語り部育成事業」を始める。市内で語り部を務める戦争体験者は既に80代後半以上で、活動は年々困難になっている。意欲ある16歳以上の市民を募り、研修を経て語り部の役割を担ってもらう。
 浜松復興記念館(中区)で10月から来年3月まで8回の講習を開く。内容は体験者への聞き取り、戦争研究の専門家による講義、スピーチや原稿作成の練習など。体験者の話を伝えるだけでなく、受講者自身が関心のある分野を突き詰め、自分の言葉で語れるよう同協会が学びを支援する。修了後は同記念館や学校などで講師を務めてもらう。
 同協会の担当者は「経験者ならではの説得力を再現するのは難しく、技術を相当磨く必要があるが、語り部活動を通じて学べることも多いはず」と参加を呼びかけている。
 同市は太平洋戦争中に少なくとも27回の空襲や艦砲射撃を受け、3千人以上が犠牲になった。特に1945年6月18日の浜松大空襲では市街地が壊滅的な被害に見舞われた。同記念館では空襲や復興の体験者が語り部を務めてきたが、みな高齢で活動が難しくなり、近年は親族などから体験を伝え聞いた70代前後の語り部も増えてきている。

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