陸上養殖「三保松さば」試験出荷へ サーモンに続きマサバ挑戦 静岡・日建リース工業

 静岡市清水区の三保半島でご当地サーモンの三保サーモンを陸上養殖する日建リース工業(東京都)が、第2弾としてマサバの陸上養殖に挑戦し近く試験出荷が可能になった。生食文化がない静岡や関東地方でサバの刺し身が食べられるようになるという。同社は地元の三保松原にちなみ「三保松さば(みほのまつさば)」と名付けた。

新ブランドの「三保松さば」を示す管理スタッフ=静岡市清水区三保の日建リース工業養殖場
新ブランドの「三保松さば」を示す管理スタッフ=静岡市清水区三保の日建リース工業養殖場
いけすの中のサバに餌やりする関係者=静岡市清水区三保の日建リース工業養殖場
いけすの中のサバに餌やりする関係者=静岡市清水区三保の日建リース工業養殖場
新ブランドの「三保松さば」を示す管理スタッフ=静岡市清水区三保の日建リース工業養殖場
いけすの中のサバに餌やりする関係者=静岡市清水区三保の日建リース工業養殖場

 20日に同社が発表した。「騒音などストレスに弱くデリケート。いけすの壁にぶつかって死んでしまう個体もいる」と話すのは管理スタッフの佐藤豊さん(50)。三保サーモンも養殖してきたが、魚種ごとの成育方法の違いをクリアするため、手探りで試行錯誤してきた。1年ほど前に和歌山県内の業者から養殖の稚魚1500匹を購入。今では体長約20センチ、重さ400グラムまで育ち、これまでサーモンを育ててきたいけすで元気に泳いでる。
 三保松さばには、年間18・5度で一定している清浄な地下海水を掛け流しで利用する。天然ものの場合、生食には寄生虫などのリスクが伴うが、三保松さばは寄生虫を殺すための冷凍などは不要だ。酢で締める必要もなく、刺し身で味わうことができる。
 同社営業本部事業開発部の渡辺将介部次長は「九州の一部にはサバの生食文化がある。三保松さばの身質は脂がのっていて刺し身に向く。レバーや白子など内臓も生で味わってもらえる」と味に太鼓判を押す。
 全国的にはJR西日本が鳥取県で地下海水を使って陸上養殖し、「お嬢サバ」の名前で売り出し中のマサバが有名。他にもサバの陸上養殖の例はいくつかある。ただ、サバは足が早いため地元でしか味わえない面もあり、関係者は「まさに『しずまえ鮮魚』として、地元向けの水産物として根付かせたい」と期待する。将来的には年間2トン程度の出荷を目指すという。

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