静岡人インタビュー「この人」 全日本トライアル選手権に電動バイクで参戦しているヤマハ発動機チームの監督 佐藤美之さん(浜松市中区)

 1985年にヤマハ発動機入社。主に国内営業を担当し、2015年からモータースポーツを担うMS戦略部に所属。20年にヤマハファクトリーレーシングチーム監督に就任した。23年の全日本トライアル選手権に出場チーム唯一の電動バイクで挑んでいる。福島県出身。60歳。

佐藤美之さん
佐藤美之さん

 -トライアルの魅力は。
 「自然の中のコースで、岩や丸太などの障害物をバイクで乗り越えるモータースポーツ。選手の表情が見えるほど間近で観戦できるので、臨場感や緊張感が楽しめる。こんなに高い岩を登れるのかとドキドキハラハラする中で、足をついたり、転んだりせずにゴールできた時は感動が味わえる」
 -なぜ電動バイクで参戦したのか。
 「(二酸化炭素排出を実質ゼロにする)カーボンニュートラルに対する企業の姿勢が世界的に問われている。社内でレースは『走る実験室』と言われる。EV(電動車両)の量産化に向け、レース現場でEVの持ち味や性能を検証し、成果を開発にフィードバックしたい」
 -レースでの手応えは。
 「年間10位以内を目標に掲げたが、第1~3戦は全て5位以内と、予想以上の結果に驚いている。スポット参戦した5月下旬の世界選手権日本グランプリ2日目も、4位入賞を果たした。マシンが着実に進化し、ライダーも電動バイクに慣れてきた。ここまで来たら、全日本選手権では表彰台を狙いたい」
 -今後取り組みたいことは。
 「トライアルはほかのモータースポーツに比べると圧倒的に観客が少ない。多くの人にトライアルの魅力や、ヤマハ発があえて電動バイクでチャレンジしていることを知ってもらえるよう情報発信に力を入れたい」

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