野党一本化は見通せず 衆院選擁立急ぐ 立民に路線対立【とうきょうウオッチ 記者余論】

 通常国会が21日、閉会した。野党各党は秋の臨時国会での解散も視野に候補者の擁立を急ぐが、立憲民主党では野党共闘を巡る路線対立が顕在化。選挙協力に否定的な泉健太代表に他党との候補者調整を迫る動きが持ち上がった。一方で、野党第1党を狙う日本維新の会は立民との対決姿勢を崩さない。与野党一騎打ちの構図が実現するかは不透明だ。

国会閉会後、記者団の取材に応じた立憲民主党の泉健太代表=21日、国会
国会閉会後、記者団の取材に応じた立憲民主党の泉健太代表=21日、国会

 立民の小沢一郎衆院議員ら有志議員は16日、野党候補の一本化を求める会を設立した。「各党が候補者を立てて自民党に勝てるわけがない」。所属衆院議員の過半数超が賛同したと明かし、泉代表に方針転換を迫った。泉代表は21日、報道陣に対して調整に含みを持たせる発言をしたが、実現性を問われると「政治っていうのは簡単じゃない。毎度毎度、白黒つくわけじゃない」と語気を強めた。
 共産党との連携は自身が掲げる中道路線に水を差しかねない。同じ連合を支持母体とする国民民主党とはすみ分けできる可能性があっても、維新は立民を「たたきつぶす」と公言している。そもそも自力で勝てばいいわけだが、そこまでの党勢がないのも事実。泉代表のいらだちは募るばかりだ。
 県内を見れば、前回衆院選で当選した立民の現職3人のうち、選挙区を勝ち抜いた2人は一対一で自民候補と対峙(たいじ)した。ときには野合との批判も受ける候補者の一本化だが、小選挙区制で戦う以上、野党にとって重要な戦略の一つであることは間違いない。「大きな塊」を作れるのか注目したい。

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