自閉症の高校生、NPO理事就任 沼津の沼田さん「役割広げたい」
沼津市の沼津特別支援学校高等部3年で自閉症の沼田晃太朗さん(17)=同市=が、1月に設立された特定NPO法人「こころのまま」(同市)の理事に就任した。知的障害のある未成年がNPOの理事に就任するのは、全国的にも珍しい。法人の理事長で母の潤さん(45)は「障害者ができる役割を広げたい」と活躍に期待する。
NPOは特別支援学校などに通う障害児の母親の会を母体に設立した。前身のグループで、障害児の居場所や働く場づくりに取り組んだ経験を生かし、障害者が働く環境の整備や生活の質向上、当事者や保護者のネットワークづくりを活動主体とする。7月には国内の先進事例を紹介する講演会の準備を進めている。
晃太朗さんは2月、通学する学校の実習に協力した企業から同校PTAへの寄付金を手渡す役を務めるなど、理事としての仕事をこなし始めた。潤さんの関係機関へのあいさつ回りや打ち合わせなどにも同行する。あいさつでの名刺交換は「緊張する」とはにかむが、「理事になってうれしい」と意欲的だ。
同僚の理事市川正子さん(51)=同市=は「晃太朗君は人を引きつける魅力がある」と活躍を温かく見守る。
中学時代は生徒会長も務めた晃太朗さん。潤さんは「自分が“リーダー”だという自覚がさらに強くなった」と成長に目を細める。「NPOの運営に携わることで、当事者が社会のためになっているという実感を持てる環境をつくれたら」と活動の広がりを願う。
(東部総局・尾藤旭)