憂鬱や不安で嗅覚低下 キリンHD×ファンケル×浜松市 研究成果報告 住民調査 ストレス客観評価へ

 キリンホールディングス(HD)、ファンケル、浜松市は気分やストレス状態と嗅覚機能の相関性に関する研究を行い、このほど同市中区の市地域情報センターで結果報告会を開いた。住民316人を対象に気分状態、自律神経機能、においをかぐ力を調べたところ、憂鬱(ゆううつ)や不安を抱えている人ほど嗅覚が低下しているとの結果が出た。「気分やストレス状態を客観評価できる可能性がある」として、結果をメンタルケアに役立つサービスの開発に活用する。

報告会で香りの同定検査を体験する来場者=浜松市中区の市地域情報センター
報告会で香りの同定検査を体験する来場者=浜松市中区の市地域情報センター


 健康関連の実証実験を市が後押しする「浜松ウエルネス・ラボ」の共同研究。調査は2020年11月から21年7月に実施した。香りを付けた用紙をかいで答えを選ぶ12問の同定検査と、弱い香りを感じ取る閾(いき)値検査、自律神経測定器による機能検査、気分状態の質問を行った。
 その結果、閾値検査の得点が低い人ほど憂鬱度、不安度、ストレス度が高かった。ストレス抵抗性が弱い人はミカンの香りを外す、自律神経活動が弱い人はメントールの香りを外すという傾向も顕著だった。キリンHDの担当者は「脳や心の状態を自分で評価できれば自分でケアしやすくなる。日常的に検査できる簡単なサービスの開発を検討したい」と話した。
 (浜松総局・宮坂武司)

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