瓦 カフェから魅力発信 浜松・柳本産業がオープン 家業、業界発展へ交流

 屋根工事業の柳本産業(浜松市中区)が、祖業の瓦の魅力発信拠点としてこのほど、カフェ「gramme(グラム)」を同区北田町にオープンした。瓦を想起させる店づくりや飲食メニューが注目を集めるほか、建築やライフスタイルに関するイベント、瓦職人が講師を務めるワークショップの場としても利用されている。運営者の柳本茉希さん(40)は「暮らしに息づいてきた瓦の価値を身近に伝えたい」と語る。

来店者と交流する柳本さん(中央)=浜松市中区のカフェ「gramme」
来店者と交流する柳本さん(中央)=浜松市中区のカフェ「gramme」


 1890(明治23)年創業の柳本産業は、遠州の土を使った瓦製造を担い、現在は瓦を含む屋根工事や修理を主体に手がける。浜松いわた信用金庫職員だった柳本さんは2019年、3児を育てる中で働き方など環境を見直し、退職して家業に従事した。経理を担当する一方、新築住宅の減少で瓦を扱う技術継承などの課題が浮かぶ中、家業や業界の発展に「何かできないか」と一念発起した。
 遊休不動産を活用してまちなか活性を図る市の「浜松リノベーションスクール」に参加し、耐久性に優れ、経年劣化を経た美しさを有する伝統の瓦を身近に知る拠点と、自身の好きな食を組み合わせたカフェの開設に行き着いた。
 築55年の建物をリノベーションした店舗は、スクールで築いた人脈を足掛かりに設計・施工を進めた。カフェスペース約40平方メートルには12席を設け、床やカウンターは瓦の廃材を有効に活用した。ブレンドティーやチーズケーキ、竹炭を練り込んだ瓦色のもなかなどを用意。提供する食器も瓦の風合いを意識した。
 店名は、重さの単位グラムの当て字に「瓦」を使用することにちなむ。信金時代に培ったニーズや困り事へのサポート力も生かし、「集まった人を結びつける場になれば」と話す。開店日は毎週水~土曜日。
 (浜松総局・山本雅子)

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