有機茶園 病害虫を駆除 静岡県茶業研究センター、寺田製作所が設備開発 作業負担軽減で生産促進

 静岡県農林技術研究所茶業研究センター(菊川市)が今年、有機栽培茶生産の専用設備「茶園用病害虫クリーナー」を発表した。製茶機械メーカーの寺田製作所(島田市)との共同開発で、化学農薬に頼らずに病害虫の防除や除草作業を効率化する。農作業負担を軽減することで、中山間地で海外からの需要が高い有機茶の生産促進を図る。

開発した茶園用病害虫クリーナー。前方の送風用ノズルを茶樹に差し込み、後方の捕獲袋に向けて送風する=6月下旬、菊川市
開発した茶園用病害虫クリーナー。前方の送風用ノズルを茶樹に差し込み、後方の捕獲袋に向けて送風する=6月下旬、菊川市
炭疽病被害を受けた茶葉や害虫
炭疽病被害を受けた茶葉や害虫
開発した茶園用病害虫クリーナー。前方の送風用ノズルを茶樹に差し込み、後方の捕獲袋に向けて送風する=6月下旬、菊川市
炭疽病被害を受けた茶葉や害虫


 県は有機茶の輸出拡大を目指し、2025年度までに有機栽培面積を20年度比約2倍の400ヘクタールまで広げる目標を掲げる。国際認証「有機JAS」は厳しい規制を課しており、使用できる農薬が限られる。葉を傷める炭疽(たんそ)病や害虫多発による収量減退への懸念は、茶農家が有機農業を敬遠する一因となっている。
 同センターは20~22年度に研究を進め、クリーナーを完成させた。乗用型管理機に備えた送風用ノズルを生い茂る茶樹に差し込み、強い風をあてながら茶園を進むことで、吹き飛ばした枯れ葉や害虫を捕獲袋に収容できる。一番茶や二番茶が本格的に芽生える前に使うと、高い効果が見込めるという。
 クリーナーには除草機の取り付けも可能。実験では作業時間を半分以下に削減できたという。手作業に頼りがちな除草作業の負担を減らせる。
 中山間地でも使えるように横幅2・2メートルと小型軽量に仕上げた。来年度以降の実用化を目指す考えで、センター茶環境適応技術科の片井秀幸科長は「山間地での茶業発展に向け、有機農業が広まる一助になれば」と話す。

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