冷凍カツオ AIで品定め 焼津のメーカーと静岡県水技研 実証実験へ

 焼津市の機械メーカー「イシダテック」が静岡県水産・海洋技術研究所と連携し、水揚げした冷凍カツオについて、AI(人工知能)を活用して見た目から品質を判定するシステムの実証実験を始める。8日までに関係者への取材で分かった。これまで水産関係者の感覚に頼っていた品質の判断を、AIが自動的に評価する仕組みの構築を目指す。今秋から冷凍カツオのデータ収集作業に入る方針。

カツオを3Dカメラで撮影した画像
カツオを3Dカメラで撮影した画像

 両者が目指すシステムにより、魚を傷つけることなく冷凍カツオの鮮度や品質をすばやく判定することが可能になる。高付加価値なカツオや、かつお節向けや加工品向けといった用途に適したカツオを見分けることもできる。
 これから、両者がAIの判断の元となるデータを、焼津漁港で水揚げされるカツオで収集していく。具体的には複数台の2Dカメラと3Dカメラでカツオをあらゆる角度から撮影するほか、同研究所が開発した光を当てて冷凍カツオの脂肪量を測定する機械も活用する。さらに、ヒスタミン濃度やアデノシン三リン酸(ATP)関連物質、脂肪分といったデータをカツオから個体ごと採取する。
 イシダテックは水揚げされた魚の魚種や重量をAIで選別するシステムも開発中。現在、焼津漁業協同組合が導入に向けた検証作業を進めている。AIによる品質と選別の判定システムが導入されることで、水産関係者からは作業の省力化に加え、データに基づいた品質保証ができることで、焼津漁港の高付加価値化につながると期待の声が上がっている。
 (焼津支局・福田雄一)

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