中学の部活動地域移行 情報公開や説明不可欠【西部記者コラム 風紋】

 中学校の部活動のあり方を見直そうと、袋井市で「部活動地域移行推進協議会」が発足した。専門的指導者の普及を進め、将来的な地域クラブ化も見据える。ただ、実現には指導者の人材確保などの課題があり、地域の理解と協力が求められる。
 協議会はPTAや学識経験者、スポーツ・文化芸術活動関係者らで構成する。初会合では、既設の部活動から休日の活動で専門的指導者を任用することを決定。指導者は教員以外とすることも確認した。各校の状況を確認した上で今後の対応を検討する。
 市教委は2020年から、教員以外も部活動の指導を行える部活動指導員制度を導入し、現在ソフトボール、卓球、剣道など10団体で11人の指導員を任用している。生徒はより専門的な技術指導を受けることができ、教員の負担軽減にもつながっているという。制度を利用する部を拡充し、平日の活動にも指導者の任用を模索する。
 少子化に伴い全国的に中学校の生徒数は減少傾向にある。併せて国は教員の働き方改革の推進も求めていて、「従来通りの部活動の存続は困難」との見解を示している。同市も26年をピークに生徒数が減少傾向に転じるとの試算があり、実際に今年の夏以降、学校単独での試合出場が困難な部もあるという。
 当面は部活動における専門的指導者の任用を進めるが、並行して地域クラブへの移行も検討する。移行が可能と判断した部については同市を拠点に活動するクラブチームなどと、受け入れに向けた交渉を行う予定。
 同協議会の初会合では、委員から部活動の地域連携や移行を進めるに当たり、住民に対して部活動の現状を周知する必要性を指摘する意見も出た。市教委は市内4中学校の部活動を紹介するチラシを発行し、公共施設に掲示したり、ホームページで公開したりするなどして情報発信に努めているという。
 子どもたちの活動機会を確保しつつ、教員の働き方改革を進めるには新たな環境の整備が必要で、市は「地域住民との共創で取り組む」としている。そのためには地域に対する積極的な情報公開や丁寧な説明が不可欠だ。
 (袋井支局・仲瀬駿介)

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