望月絹子「パリでも泳ぐ」 世界水泳女子800リレー出場【しずスポ】

 失意の東京から2年 静岡への恩返し誓う  初めて背負う日の丸の重みに武者震いがした。14日に福岡で開幕する競泳の世界選手権で女子800メートルリレーに出場する望月絹子(鈴与)は「代表ユニホームに袖を通した瞬間、鳥肌が立った」。主戦場は400メートルと800メートルの自由形。個人種目にこだわり、これまでリレーは視野になかったが今は違う。「日の丸を付ければ同じ。日本の五輪出場枠に貢献し、パリでも自分が泳ぐ」

競泳日本選手権の女子200メートル自由形決勝で力泳する望月絹子=東京アクアティクスセンター(写真部・二神亨)
競泳日本選手権の女子200メートル自由形決勝で力泳する望月絹子=東京アクアティクスセンター(写真部・二神亨)
競泳日本選手権の女子200メートル自由形決勝で力泳する望月絹子=東京アクアティクスセンター(写真部・二神亨)

 まずは五輪出場枠 そして本番 メンバー入りだ  東京五輪を逃した失意の2021年、社会人として「結果が全て」と空回りした苦闘の22年を経て今春、24歳に光明が差した。4月の日本選手権200メートル自由形決勝。4位ながら自身初の1分58秒台(1分58秒75)で、社会人になって初めて自己記録を更新した。
 進化の証しはレース展開にある。これまで後を追って敗れてきたライバルの難波(JSS)、小堀(あいおいニッセイ)に序盤から先行し逃げ切った。個人種目で派遣設定記録を突破するため、東京五輪を逃してからずっと取り組んできた「攻めの泳ぎ」。400メートルと800メートルは最後まで押し切れなかったが、一つの形にはなった。
 神奈川大3年の20年12月、日本選手権で400メートル、800メートル自由形を制し東京五輪が現実味を帯びた。だが、高まる周囲の期待に重圧を感じ「最後は押しつぶされた」という。今回も状況は似ているが、「世界を経験して変われるかのターニングポイント。プレッシャーを力に昇華してパリにつなげたい」と、同じ轍(てつ)を踏むつもりはない。
 大学卒業後の進路を考えた時、「競技を続けるなら静岡でと決めていた」。第一線で泳ぎ続ける中であらためて感じたのは、屋内プールが3カ所もある競技環境に加え、充実した合宿と手厚い支援でバックアップしてくれた本県水泳界への感謝だ。県勢は4大会連続で五輪に出場中。関係者をパリのプールに招くことが、最大の恩返しになる。

 もちづき・きぬこ 1999年4月14日、静岡市清水区出身。専門は自由形で、清水桜が丘高3年夏に全国高校総体女子200メートルで準優勝。神奈川大に進み2020年日本選手権は400メートル、800メートルの2冠を手にした。200メートルを含めた3種目の県記録保持者。鈴与。24歳。

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