「粘菌少女」生物学五輪挑戦心待ち 焼津中央高2年水沢さん 不思議な生態に魅せられ飼育

 8月に静岡市駿河区の静岡大で開かれる日本生物学オリンピック。粘菌に魅了され、静岡大で研究を続ける焼津中央高2年の水沢紗良さん(16)が、初の静岡県開催が実現した同オリンピックの本選出場に向け、16日に同大で予選に挑む。

粘菌の研究をする水沢紗良さんと粟井光一郎教授=静岡市駿河区の静岡大静岡キャンパス
粘菌の研究をする水沢紗良さんと粟井光一郎教授=静岡市駿河区の静岡大静岡キャンパス


 粘菌は自由自在に形を変形させながら成長するアメーバ状の単細胞生物。水沢さんはコロナ禍で外出できなかった中学1年時に、自宅の庭で黄色いアメーバ状の生き物を見つけた。「見たことのない生き物で、とても気になった」
 自分で飼ってみたいと考え、自ら日本細胞性粘菌学会に連絡して粘菌を自宅に取り寄せたという。餌となる大腸菌も送ってもらい、シャーレの上で半年ほど育てた。「夏の暑さで死んでしまったが、粘菌への思いは高まった」
 高校に進学後、中高生を対象にした同大の理系教育プログラム「未来の科学者養成スクール」に参加し、同大の粟井光一郎教授の指導で粘菌のストレス耐性を調べる研究を始めた。大きく成長した粘菌と小さい未熟な粘菌を用意し、さまざまな温度でどう反応するかを観察した。その結果、未熟な粘菌の方が適応力が高いことが分かったという。
 粘菌の魅力について「個体によって食べ物の好みがあったり、成長の仕方に個性があったりと人間味があって面白い」と目を輝かせる。学校でも粘菌を熱く語り、同級生からは“粘菌少女”と呼ばれる。「粘菌じゃなく年金だと勘違いしている友達もいた」と笑う。
 生物学オリンピックの予選は筆記試験で行われ、全国から中高生約4千人が挑戦する。3泊4日の合宿形式で行われる本選に進むのは80人と狭き門だが、水沢さんは「自分が好きなことで同世代と競い合えるのが楽しみ」と胸を膨らませる。
 本選は実験試験のほか、選手同士の交流も目的にしている。粟井教授は「同世代の生物好きとの交流を通じて生物学の知見を広げてもらいたい」と期待する。


 

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