「汚名返上に貢献できれば」焼津の老舗がカツオわら焼き体験

 焼津市城之腰の老舗なまり節専門店「川直」は17日、観光客向けにカツオのわら焼き体験を始めた。参加者は職人が手際よくさばいたカツオを市内では珍しいわらで焼く工程を体験し、実食する。山口直之代表は、一連の窃盗事件に伴う「焼津のカツオ」のブランド力低下を憂い、「作る工程を体験してもらって、汚名返上に貢献できれば」と狙いを語る。現在のところ、9月までを予定している。

カツオのわら焼きを体験する参加者=焼津市城之腰の川直
カツオのわら焼きを体験する参加者=焼津市城之腰の川直

 初日の午後の回には10人ほどが参加した。使用するのは焼津漁港で水揚げされた一本釣りのカツオ1尾。参加者は山口代表が3本の特殊な包丁を使い分けながらさばく様子を見学した後、一人ずつわらを燃やして生じた炎の上にカツオをのせた網を入れ、焼いた。さらに細かく切り分けた魚を口に運ぶと「臭みがない」「さっぱりしている」などと感想を述べた。
 川直はなまり節専門店だが、昨年から工場の一部を改装し、わら焼きを取り入れた。商品の評判も上々で、工程体験が観光プログラムになると考え、市観光協会に提案したところ、同協会が運営する体験型プログラム予約サイト「meets!ヤイヅ」に採用された。英語対応できるため、外国人観光客の利用にも期待を寄せる。
 山口代表はインターネットで「焼津」「カツオ」と検索すると、窃盗事件の記事が上位に挙がることに危機感を感じている。「地元で過ごす子どもたちのためにもイメージ向上の材料になれば」と話す。
 (焼津支局・福田雄一)

 

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