精神疾患の親持つ若者支援 浜松出身の平井さん居場所づくりへCF

 精神疾患の親を持つ子供や若者を支援するNPO法人「CoCoTELI(ココテリ)」(大阪市)が、オンラインで全国どこからでも参加できる居場所づくりと専門家による支援態勢の構築を目指し、クラウドファンディング(CF)を展開している。同法人の理事長は、浜松市出身で当事者でもある平井登威[とおい]さん(21)=関西大4年=。「社会の理解や支援は不足している。悩みを抱え、孤独になりやすい当事者や家族が生きやすい社会を実現したい」と協力を呼びかける。

「CoCoTELI」が今月スタートしたCFのサイト。趣旨を説明し、協力を呼び掛ける平井登威理事長=14日、浜松市中区
「CoCoTELI」が今月スタートしたCFのサイト。趣旨を説明し、協力を呼び掛ける平井登威理事長=14日、浜松市中区

 ココテリは、学生団体として2021年9月に本格的に始動した。代表の平井さんは、自身が幼稚園の時に父親がうつ病を発症。心身両面で苦しい思春期を過ごした。実家を出て県外に進学後も、不安は頭から離れることは無かったが、似た家庭環境で育った同世代の友人との出会いが一つの転機になったという。「自分の状況を話せたことが大きく状況を変えた」。チャット形式のオンラインツールを使った当事者のコミュニティーづくりや交流会、個別相談などを実施してきた。
 若者ら当事者約250人の思いに耳を傾け、見えてきたのは、多くが自身のメンタルヘルスに不安や不調を抱える実情だった。「精神疾患に対する偏見などもあり、自ら声を上げてSOSを求められる人は少ない。社会の側から気づく仕組みをつくる必要がある」と感じ、継続的な活動と課題解決に向けて、5月にNPO法人化した。中心メンバーは当事者を含む20代前半の5人。平井さんは現在大学を休学し、地元浜松に滞在しながらオンラインを活用して同法人の運営活動に力を注ぐ。
 専用サイト「キャンプファイヤー」で8月末まで実施中のCFの目標額は1千万円。オンラインコミュニティーのコンテンツ拡充や、精神保健福祉士や社会福祉士といった専門家を組織内に置いて当事者のニーズに即したサポート態勢構築などに充てる。7月1日のスタートから同14日までの約2週間で、225人から約285万円の支援金が寄せられた。平井さんは「反響や共感の大きさに驚いている。応援してくれる人の存在を感じることが大きな支えになる」と言葉に力を込める。
 (浜松総局・山本雅子)

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