キノコ 宝探し気分で探索 静岡県立森林公園探索【しずおかアウトドアファン】

大型のハイカグラテングタケも見つかった=6月下旬、浜松市浜北区の県立森林公園
大型のハイカグラテングタケも見つかった=6月下旬、浜松市浜北区の県立森林公園
アンドンタケ(静岡木の子の会提供)
アンドンタケ(静岡木の子の会提供)
サザナミイグチ(静岡木の子の会提供)
サザナミイグチ(静岡木の子の会提供)
チチアワタケ(静岡木の子の会提供)
チチアワタケ(静岡木の子の会提供)
アミタケ(静岡木の子の会提供)
アミタケ(静岡木の子の会提供)
遊歩道沿いに生えるキノコを観察する参加者=6月25日、浜松市浜北区の県立森林公園
遊歩道沿いに生えるキノコを観察する参加者=6月25日、浜松市浜北区の県立森林公園
大型のハイカグラテングタケも見つかった=6月下旬、浜松市浜北区の県立森林公園
アンドンタケ(静岡木の子の会提供)
サザナミイグチ(静岡木の子の会提供)
チチアワタケ(静岡木の子の会提供)
アミタケ(静岡木の子の会提供)
遊歩道沿いに生えるキノコを観察する参加者=6月25日、浜松市浜北区の県立森林公園

突然出現 出合いが魅力  日本国内に4000~5000種類が自生しているといわれるキノコ。その姿形や生態は多種多様で、野山を探し歩いて観察や写真撮影を楽しむ人も多い。県内のキノコ愛好者でつくる「静岡木の子の会」が6月下旬、浜松市浜北区の県立森林公園で開いた探索会には、一般も含めて約30人が参加。自然の中で夏のキノコ探しを楽しんだ。

 梅雨の晴れ間の日曜午前。野鳥のさえずりが絶え間なく聞こえる。アカマツや広葉樹の森が広がる公園内の遊歩道を、同会の会員らが地面を見渡しながら進んだ。会員の腕には「調査員」の腕章。キノコ狩りではなく、調査目的で特別な許可を得た探索だ。
 会員によれば、キノコが見つかるのはやぶの中よりも、風通しがよく胞子が飛びやすい場所。アミタケ、サザナミイグチ、チチアワタケ-。探索に慣れた目で見ると、木の根元や草の陰にはいろいろなキノコが生えている。
 「あずまやのそばに大きいのがある」。別行動をとる他のグループから、小倉辰彦会長(70)=富士市=の携帯電話に報告が入る。見つかったハイカグラテングタケは、高さ40センチにも及ぶ最大級のものだった。ほかにも複数あったが、「いつもに比べて数が少ない。既に1回目のピークは終わったのかもしれない」と小倉会長は話す。
 残り時間は少なく、諦めムードが漂う中で突然、「あった」と弾んだ声が上がった。沢の近くの斜面で会員が見つけたのは、赤い色が特徴のアンドンタケ。胞子を運ぶ虫をおびき寄せるための独特のにおいがある。絶滅の危機にある野生生物を集めた県レッドデータブックに載る、珍しいキノコだ。「最後の最後に。これだからやめられない」。会員の1人はそう言って、セットしたカメラのシャッターを切った。
 “宝探し”の時間が終わると、公園内の施設内に採取したサンプルを並べ、同定会が開かれた。この日は2時間ほどで40種類が見つかり、参加者の前で小倉会長が一つずつ名称や特徴を解説した。
 浜松市中区の会社員阿部広太郎さん(33)は家族4人で参加した。長男瑛太ちゃん(5)が興味を持ったのがきっかけ。「キノコは種類が多く、同じに見えても違うものだったりして奥が深い。図鑑だけでは見分けにくいが、詳しい人の説明を聞いて観察できる」と話す。各地の探索会に参加し、親子で自然を学ぶ機会にしている。
 キノコ探索の魅力は何か。「今回もこれまでに見られなかったものが見つかった。キノコは突然現れ、長くても1週間ほどで消えてしまう。その中でいかに出合うかが、キノコ探しの醍醐味[だいごみ]」。小倉会長はそう語った。
 (生活報道部・山本淳樹)

静岡木の子の会 夏から秋に調査、記録  静岡木の子の会(事務局・三島市)は、キノコに興味・関心がある人や研究者など約60人が所属する。毎年、夏から秋にかけて県内外の公園や森林で探索会を開くほか、キノコの調査にも当たり、情報交換をしている。
 探索会は、調査の一環として毎年ほぼ同時期に実施する。天竜奥三河国定公園内にある県立森林公園でキノコや植物の採集は禁じられているが、許可を得て最小限の標本を採取。どんなキノコが見つかったかを記録し、会報などで紹介する。
 活動成果は会のホームページに掲載している。

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