記者コラム「清流」 俳句と生成AI

 室町時代の連歌師宗祇法師の功績をしのぶ連句実作会が6月、裾野市で開かれた。取材の帰り際、講師の女性から「一句作ってみない?」と誘われた。俳句や連句の知識もなく不安だったが、ゆったりとした雰囲気に引かれ、18句を連ねる「半歌仙」に詠み人の一人として参加した。
 連句は、最初の句の情景から次の句を想像し、月や恋などのテーマ(定座)に沿って詠み合う。季語や字数の制約に悩みながら、ふと思った。脳内にしか存在しない情景を言葉で出力する連句の実作プロセスは、生成AIに画像を出力させるための「プロンプト(呪文)」に似ているのだ。
 調べると、生成AIに有名な句を入力し、イラストを作る人もいるらしい。新技術を使いこなすヒントは、古典の中にあるのかもしれない。
 (東部総局・菊地真生)

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