部活動の地域移行 静岡県教委アンケート 協議会設置で市町に差 過疎地域、指導者確保に苦慮

 公立中学の部活動を地域団体や民間事業者に委ねる「地域移行」について県教委が6月に市町教委を対象に行ったアンケートで、県内全35市町のうち、16市町が地域移行を検討する協議会を設置済みで、9市町が2023年度に設置予定と回答した一方、伊豆地域を中心とする10市町が23年度に設置予定がないことが、20日までに分かった。県内でも進捗(しんちょく)具合に地域差が生じる結果になった。

 アンケートは地域移行の現状把握を目的に初めて実施した。設置済みは静岡、浜松の両政令市をはじめ、比較的規模の大きな市町に多かった。
 23年度中の協議会設置予定がない10市町のうち、7市町が伊豆地域に集中した。西伊豆町の担当者は「過疎地域では指導者が少なく、町内での人材確保が難しい。周りの市町と協力することが必要で、議論には時間がかかりそうだ」と過疎地域ならではの事情を説明した。
 国は教員の多忙化解消の方策として、23年度から3年間を「改革推進期間」と位置付けて部活動の地域移行を進める考え。県は25年度までの間に、各市町で関係者による協議会の設置を促している。
 各市町の協議会は、県教委が2月に策定したガイドラインに沿って、教員の兼業規定の検討、指導者や活動場所の確保、生徒や保護者への周知など地域移行の課題や方策、関係団体との連携を議論する。活動費を公費負担にするか、受益者負担にするかの議論も必要になる。
 県が21年度から実施している地域移行モデル事業には掛川、焼津、藤枝、沼津の4市が参加し、水泳や陸上競技、剣道などの種目について、各市が設けた拠点校で複数校の生徒が一緒に練習するなどの取り組みが進む。県教委は成果や課題をまとめ、他市町に事例を共有する。健康体育課は「地域によって事情が異なり、進捗に差が出るのは仕方ない。25年度まで期間があるので、他市町を参考にしてほしい」と話した。
 (政治部・大沼雄大)

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