全力野球⚾天国で見てて 6月急逝恩師の教え胸に 浜名ヤンキース全国へ

 8月の少年野球全国大会に出場する浜松市浜北区の「浜名ヤンキース」が、急逝した恩師に勝利をささげようと練習に励んでいる。小学5、6年生チームの12人は、4年生以下のチームの監督で6月17日に病気のために亡くなった加藤賢一さん=享年(53)=の指導を受けてきた。「前向きに思い切っていけ」。大舞台での勝負を前に、加藤さんの指導の言葉を改めて胸に刻む。

全国大会に向け、練習に励む浜名ヤンキースの選手たち。勝利を亡き恩師に届けようと意気込む=7月中旬、浜松市浜北区
全国大会に向け、練習に励む浜名ヤンキースの選手たち。勝利を亡き恩師に届けようと意気込む=7月中旬、浜松市浜北区
加藤賢一さん(浜名ヤンキース提供)
加藤賢一さん(浜名ヤンキース提供)
全国大会に向け、練習に励む浜名ヤンキースの選手たち。勝利を亡き恩師に届けようと意気込む=7月中旬、浜松市浜北区
加藤賢一さん(浜名ヤンキース提供)

 浜名ヤンキースは1~4年生チームと5、6年生チームの2部制を敷いている。現在の5、6年生は全員が4年生以下チームに所属した経験があり、加藤さんの指導を受けた。主将の内野小6年藤原波琉夢[はるむ]君(12)は「バッターボックスに立つときは、いつも思い切って行けと言われた」と加藤さんの指導を振り返る。「優しい監督だった。急に亡くなって悲しい。前向きに行けという言葉を思い出しながら頑張りたい」と意気込む。
 投手の同校6年須村崚太君(12)は加藤さんが率いたチームで大会に出場した際、ホームランを打たれた記憶が忘れられない。「全力で投げろ、体の大きな相手に力負けするなと言われて気を付けていたのに」と悔やむ。今夏の全国大会では「思いっきり投げて絶対に勝ち、加藤監督に喜んでもらいたい」と闘志を燃やす。
 加藤さんは息子がチームに所属したのを機に指導に加わった。「野球を、勝負を楽しんでほしい」との方針で約10年、フルスイングを徹底するバッティングの指導に注力した。選手がミスをしても声を荒らげず、子どもからも保護者からも慕われた。5、6年生を指導する内山林司監督(62)は「今の選手たちが勝負強いのは加藤さんの指導があったからこそだ」と高く評価している。父母会長の藤原大輔さん(42)は「子どもたちには試合の勝利だけでなく、加藤さんを悼むことを通じて、身近な人たちへの感謝を忘れない人に成長してほしい」と願う。
 浜名ヤンキースは8月3~7日、徳島県鳴門市で行われる「阿波おどりカップ全国学童軟式野球大会」に出場する。

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