アーチェリー世界選手権へ 杉本智美(ミキハウス)・山内梓(近大職) 狙う夢は一つ【しずスポ】
同郷コンビでパリを決める。ベルリンで31日に開幕するアーチェリーの世界選手権で、ともに浜松市出身の杉本智美(ミキハウス)、山内梓(近大職)が五輪出場枠獲得に挑む。在学期間は重ならないが、いずれも浜松商高時代にエースとして全国制覇を成し遂げ、近大で日本を代表するアーチャーに成長した。夢は同じ。「パリでメダル」だ。
浜松商高エースで全国制覇→近大でも躍進の2人 東京の悔しさバネに照準は五輪表彰台へ 東京五輪の代表選考で2人の明暗は分かれた。後輩の山内が急成長で代表に滑り込んだ一方、日本のエースだった杉本は強風が吹き荒れた2020年春の2次選考で落選。「努力は否定したくない。ただ、方向が違っていたのか…」。心は折れかけたという。
転機はその直後のコロナ禍。近大の施設が使えなくなり、気持ちを整理する時間ができた。地元に戻り、江之島の練習場に通う日々を過ごして実感したのは「やっぱりアーチェリーが好きなんだな」ということ。大学に戻る時、パリを目指すと決めた。
山内も華々しい“五輪デビュー”の裏側で苦悩と戦っていた。予選ラウンドで日本人トップの7位。だが、慣れない長期遠征と代表の重圧で崩れたフォームでは、それが限界だった。決勝ラウンドは早々に敗退。「この悔しさはパリで晴らす」と誓い、フォームの安定感を追求してきた。
4月の世界選手権最終代表選考会。山内は圧倒的な力でトップ通過を決めた。得意のランキングラウンド(72射)だけでなく短期決戦のトーナメントでも3戦すべて3位以内。「勝った経験がすくないトーナメントでも結果を残せた」と進化を証明した。
杉本も苦手意識のあった強風を克服し2位通過すると、6月のワールドカップ(W杯)第3戦では、王国・韓国で最も勢いのある新鋭に0-4から追い付く粘りを見せ、「間違いなく上がっている手応えがある」と自信を深める。
世界選手権は団体3位以内に入れば、そのままパリ五輪代表に内定するが、目標はあくまで五輪のメダル。杉本はきっぱり言い切った。「攻めのアーチェリーしたい。思い切って後悔のない試合をする」
(山本一真)
すぎもと・ともみ 1994年11月9日、浜松市中区出身。浜松商高時代に全国3冠に輝き、近大でも活躍。2018年アジア大会ミックス金メダルを獲得し、19年世界選手権は個人8位に入った。ミキハウス。28歳。
やまうち・あずさ 1998年9月11日、浜松市東区出身。浜松商高3年夏に全国高校総体で団体優勝。近大では全日本学生個人選手権を制し、東京五輪女子団体で入賞に貢献した。近大職。24歳。