記者コラム「清流」 認知症と共生社会

 6月、「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が国会で成立した。認知症の人の尊厳が守られる社会を目指すための法律で、高齢化社会の大きな転換点になるだろう。
 今月取材した認知症サポーター養成講座では、認知症の人を傷つけない対応を学んだ。散歩の途中で道に迷った認知症の人を周囲が無視する場面が取り上げられると、一部の出席者の間で動揺が見られた。私は「周囲の人と同じ対応をしてしまうんじゃないか」と頭をよぎり、自分自身に注意を促した。88歳の祖母がいる私にとって、人ごとではない講座だった。世間全体でまだ関心が広がっていない分、危機感が増した。
 認知症は誰にでも起こり得る脳の病気で、患う人はますます増えてくる。地域全体で啓発し、関心を高める動きが必要だ。
 (水窪支局・大沢諒)

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