富士山5合目以下 麓歩きの勧め 富士宮市が初親子向けツアー「気軽に親しんで」

 富士山で登山者が体調不良や負傷で救助される事案が相次ぐ中、5合目より下の自然と触れ合う軽めのトレッキングを推奨する取り組みが動き始めている。富士宮市は25日、親子向けの日帰りツアーを初開催し、小学生の親子らが麓に広がる大自然に触れた。世界文化遺産登録10周年の節目で注目が集まる今季に市担当者は「体力に自信のない人でも無理なく霊峰に親しめることを広めたい」と話す。

富士山麓の森を進むツアー参加者=25日午前、富士宮市内
富士山麓の森を進むツアー参加者=25日午前、富士宮市内
札打場の大ケヤキを見上げるツアー参加者=25日午前、富士宮市内
札打場の大ケヤキを見上げるツアー参加者=25日午前、富士宮市内
富士山麓の森を進むツアー参加者=25日午前、富士宮市内
富士山麓の森を進むツアー参加者=25日午前、富士宮市内
富士山麓の森を進むツアー参加者=25日午前、富士宮市内
札打場の大ケヤキを見上げるツアー参加者=25日午前、富士宮市内
富士山麓の森を進むツアー参加者=25日午前、富士宮市内

 日帰りツアーではかつて多くの修験者が通ったとされる村山口登山道をたどった。こけが深くむして一面緑色の山道を進み、札打場(ふだうちば)や中宮八幡堂などを巡った。5合目より下を専門とするガイド岩崎仁さんの案内で植生に理解を深めた。
 要所を数十分間ずつ散策し、途中は車で移動する行程で5合目を目指した。参加者は道中の会話を楽しみながら、体力に余裕を残して行程を終えた。同市の富丘小6年仲間翼君(11)は「初めて森の奥深くを体験できていろんな発見があった」と満足げな表情を見せ、次は山頂に登る目標を立てた。岩崎さんは「これまでの噴火や標高差がつくり出した自然の多様性こそ富士山の魅力。小さな子を連れていても、四季折々の美しさに触れられる」と話した。
 富士山自然休養林保護管理協議会は長短13のハイキングコースを紹介している。今季は2合目付近で道に迷ったとの救助要請が発生していて、富士宮署は装備や道順の確認など入念な準備をして臨むよう呼びかけている。
 (富士宮支局・国本啓志郎)

山岳医指摘 体調崩したら標高下げて
 富士宮口8合目にある富士山衛生センターの山岳医大城和恵氏は、子どもが体調を崩したら下って標高を下げることを勧める。
 今季の富士山では17日、同口新7合目で5歳の男児が高山病とみられる症状で救助される事案が発生した。富士宮署によると、男児は前日に家族と登り始めた時から体調を崩しだし、山小屋で宿泊したが回復しなかったという。
 大城氏は、子どもは自身の体調を親に説明することが難しいと分析する。高所で呼吸が荒くなり体から水分が抜け、吐き気で食べられずエネルギー不足に陥り、高山病と脱水、低体温症に同時に見舞われる事例が多い。「機嫌や食欲などの小さな変化に親が敏感にならないといけない」と指摘する。
 遠方から来る登山者は長距離移動により寝不足や疲労がたまった状態で登山を始め、高山病のリスクが高いという。大城氏は体力を十分に回復してからの登山開始を促している。

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