活況の山小屋、続く警戒 コロナ5類移行後初のシーズン、値上げも予約殺到/受け入れ制限【富士山臨時支局】

 新型コロナウイルスの5類移行後、初の富士登山シーズンを迎え、利用者の登山スタイルがコロナ禍以前に戻りつつある。開山1カ月前から各山小屋に予約が殺到し、週末は満室に近い状態が続く。一方、宿泊者数をコロナ禍前の6~8割に減らすなど、山小屋ごとに感染防止策を模索している。

万年雪山荘で夕食を楽しむ親子=1日夕、富士山富士宮口9合目(写真部・二神亨)
万年雪山荘で夕食を楽しむ親子=1日夕、富士山富士宮口9合目(写真部・二神亨)


 テーブルを相席し、会話を楽しみながら温かいカレーをほおばる-。そんな光景が4年ぶりに戻ってきた。富士宮口9合目の万年雪山荘は、テーブルに配置していたパーティションを今夏撤廃し、スタッフも増員した。
 渡辺和将社長は「やっとお客さんが戻ってきた。7月は天気にも恵まれたのでありがたい」と胸をなでおろす。十数年ぶりに、長男とともに大阪府から登山に訪れた金子保さん(60)は「前回より登山客が増えた。特に外国人の姿が多い」と驚く。
 一方、2年前に設置した宿泊スペース内の間仕切りは今年も継続している。グループごとに区切る配慮は利用者から好評を得ているという。
 富士山表富士宮口登山組合はウェブサイトで山小屋でのマスクの着用を呼びかけているが、登山客のほとんどは着用していない。山口芳正組合長は「強要はできない。利用者に実情に合わせている」とした。受け入れ人数の引き下げや急激な物価上昇、燃料高を受け、多くの山小屋が宿泊費などを値上げしたが、クレームはないという。
 宿泊受け入れ人数の制限の余波か、山小屋付近でテントを立てる外国人登山者もいたという。山口組合長は「山小屋に入れず、トイレにこもる人もいる。ルールの周知は依然として課題」と問題提起した。

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