卓球Tリーグ静岡ジェード さあ初陣 応援歌にチア...地域密着型の熱気

 卓球Tリーグ男子に今季参戦し、5日に静岡市葵区の市中央体育館で初戦を迎える静岡県初のプロチーム「静岡ジェード」を地域ぐるみで支えようと、市民の応援の熱が高まっている。人口減少が進む市北部の中山間地「オクシズ」に練習拠点を設けて地域に密着し、「卓球で静岡の活性化を」と意気込む同チーム。ホームゲームには地元住民が駆け付けて横断幕を掲げ、市内のアーティストも応援ソングで鼓舞する。熱い声援を背に、Tリーグに新風を吹かせる。

開幕戦に向けリハーサルを行う緒形リアさん(左)と静岡北高チアリーディング部=7月28日、静岡市葵区の静岡北高
開幕戦に向けリハーサルを行う緒形リアさん(左)と静岡北高チアリーディング部=7月28日、静岡市葵区の静岡北高

 南アルプスの玄関口である葵区の井川地区や梅ケ島温泉など、豊かな自然が残るオクシズ。そんな中でもチームが練習拠点を置く足久保地区は、JR静岡駅から車で40分程度と比較的市街地にも近いエリアだ。
 7月上旬、旧足久保小体育館は住民約140人の熱気で満たされた。足久保学区自治会連合会が主催した壮行会。「話題が少ない地域だから卓球で活性化すればうれしい」と三重野隆志会長(72)は期待を膨らませた。同連合会はチームの試合情報を回覧板で共有し、応援に出向く構えだ。
 5、6両日の試合会場となる市中央体育館では、葵区のシンガー・ソングライター緒形リアさん(38)が自ら作詞作曲した応援ソング「JADE―おらがまちのチーム」を歌う。「設備が整わない環境でも全力で練習する姿に胸を打たれた」と緒形さん。チームと出会ったのは2月に開かれた静岡オクシズ卓球フェス。2017年世界選手権代表で監督兼選手の森薗政崇さん(28)らメンバーは、幼稚園児から高齢者までの市民に卓球の楽しさを熱心に伝えた。練習拠点に空調設備はなく、夏場は朝や夜に練習。壁が白くてボールが見づらく、周囲を折り畳んだ卓球台で囲むなど工夫する。恵まれない環境だが森薗さんは「ドイツのチームでプレーしていた時、町全体で応援する雰囲気があった。住民と近い距離で交流したい」と逆境を楽しむ。
 そんな挑戦を後押ししたいと思った緒形さんは3月に曲作りを始め、森薗さんにインタビューして歌詞を考えた。イベントを通じて接点があった静岡北高(同区)チアリーディング部にも協力を頼み、歌とダンスで応援することにした。
 「選手が勇気をもらえ、ファンが楽しめる曲。来場者も一緒に歌ってほしい」と緒形さん。同部キャプテンの保延若希さん(3年)も「盛り上がるよう大技を組み込んだ。観客を巻き込みたい」と胸を躍らせる。
 (社会部・白鳥壱暉)

島田樟誠高生は試合スタッフに 選手との交流「とても刺激」
 静岡ジェードの開幕戦では、競技力向上や地域活性化を目指して同チームとパートナーシップ契約を結ぶ島田樟誠高(島田市)の男女卓球部員も、試合を補助する「ボールパーソン」や会場の案内係などのスタッフとして運営を支える。
 同校の部員は7月20、21両日、静岡ジェードの拠点である静岡市葵区の旧足久保小を訪れ、選手から直接指導を受けた。男子卓球部の瀧井咲哉部長(2年)は「練習前に気さくに話しかけてくれてうれしかった。練習では厳しく真剣に向き合ってくれて、とても刺激になった」と振り返る。女子卓球部の高井美咲さん(1年)は「選手がTリーグで活躍し、静岡で卓球が盛り上がってくれたらうれしい」と期待を膨らませた。
 静岡ジェードは今後県内に住む選手を増やして県民と交流を重ね、地域に愛されるチームを目指す。

 <メモ>卓球Tリーグは男子6チーム、女子6チームのリーグ戦。7月29日に開幕し、来年3月まで各チーム20試合を行う。勝ち点上位の3チームがプレーオフで優勝を争う。静岡ジェードは県内では静岡市葵区の市中央体育館や駿河区のグランシップのほか富士宮市や磐田市でも試合を行う。

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