記者コラム「清流」 「声」に感じる日常

 「声援が力になった」。コロナ禍が始まってから、かつてスポーツ取材で当たり前だった言葉を聞かなくなっていた。「声援」という2文字を書くことをためらっていた覚えもある。
 北海道で開催中の全国高校総体で4年ぶりに声出し応援が解禁された。スタンドでは両校の応援団が個性的なエール交換を演じ会場の笑いを誘う場面も目にした。勝負どころでの「声」は間違いなく選手の背中を押したはずだ。
 大会を特別協賛する大塚製薬は今回「声の出番だ」というキャッチフレーズを打ち出した。活動を制限されてきた高校生の感情爆発を応援するという。5類移行後の感染拡大もあって一部で批判的な意見もあったようだが、選手も応援団も完全燃焼する光景に、高校スポーツに日常が戻ってきたことを実感している。
 (運動部・山本一真)

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