客が主役 商品は“ギフト” 浜松で「サンリオ展」 「いちご新聞」元編集長に聞く

 ハローキティやマイメロディ、キキ&ララのリトルツインスターズなど多くのキャラクターを生み出し、「かわいい」を世界共通語に高めたサンリオ。創立から60年をたどる展示会が浜松市で開かれている。同社の象徴でもある月刊誌「いちご新聞」の編集長を長年務めてきた高桑秀樹は「主役はキャラクターではなく客。商品は“ギフト”」と理念を語った。

サンリオのキャラクターデザインはファンのニーズに合わせて開発されてきた。「寄り添うような商品作りを意識してきた」と語る高桑秀樹=7月下旬、浜松市東区
サンリオのキャラクターデザインはファンのニーズに合わせて開発されてきた。「寄り添うような商品作りを意識してきた」と語る高桑秀樹=7月下旬、浜松市東区
時代を反映するグッズ。友情の証しとして交換する香り付きティッシュやばんそうこうはロングセラー。最近ではモバイル関連が人気という
時代を反映するグッズ。友情の証しとして交換する香り付きティッシュやばんそうこうはロングセラー。最近ではモバイル関連が人気という
創刊号から並んだ「いちご新聞」。表紙から時代を感じとることができる
創刊号から並んだ「いちご新聞」。表紙から時代を感じとることができる
サンリオのキャラクターデザインはファンのニーズに合わせて開発されてきた。「寄り添うような商品作りを意識してきた」と語る高桑秀樹=7月下旬、浜松市東区
時代を反映するグッズ。友情の証しとして交換する香り付きティッシュやばんそうこうはロングセラー。最近ではモバイル関連が人気という
創刊号から並んだ「いちご新聞」。表紙から時代を感じとることができる


 サンリオは1960年、山梨県で創業。大量生産された味気ない日用品が主流の高度成長期、イチゴ柄をプリントした雑貨が話題を呼んだ。内藤ルネや水森亜土ら有名イラストレーターを起用した時代を経て、オリジナルデザインを開発するようになった。
 最初に登場したキャラクターはパティ&ジミー。70年代のアメリカへの憧れを表現した。2024年に誕生50周年を迎えるハローキティをはじめ、トレンドを取り入れたキャラクターやモチーフを作り出した。「漫画やアニメではなく、商品として出合うキャラクターにはストーリーがない。だからギフトを受け取った人自身の感情をのせやすい」と、高桑は長く愛される理由を分析した。
 高桑にとって最も思い入れがあるキキ&ララは、「いちご新聞」を通じて人気が高まった。雲の上という背景がしっかり描かれている分、ファンの想像力を壊さないようキャラクターが存続し続ける難しさを痛感したという。
 ファンとの距離の近さもサンリオの特徴だ。現在でも10万部を発行するいちご新聞は創刊時からファンと同社の橋渡し役を担い、キャラクターの存続やグッズの開発にも“声”を取り込んできた。「かわいい」が日本文化の象徴になった、この60年。「キャラクターはサンリオが一方的に作ったのではない。ファンと一緒に育ててきた」
 展示は、戦争のない世界を願う創業者の言葉で締めくくられている。高桑は「『かわいい』は攻撃的な気持ちを和らげ、思いやりを持たせる。争いのない世界を作るのに必要な要素。サンリオの根底には、平和の希求がある」と明かした。
 (教育文化部・名倉佐記)

 

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