教育文化部 名倉佐記
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大蔵教義が新作狂言 「静岡に今川あり」示したい 11日臨済寺(静岡市葵区)
駿府を治めた戦国大名今川義元を主人公にした新作狂言「今川」が11日、菩提寺[ぼだいじ]の臨済寺(静岡市葵区)で上演される。狂言師の大蔵教義が制作。「今川義元は民を思い三国を治めていた。『静岡に今川あり』と伝えたい」と、「公家かぶれ」「勝てる戦に負けた」などと揶揄[やゆ]される義元の偉大な一面を描く。 舞台は桶狭間の戦いの後、重臣の雪斎を連れた義元が閻魔[えんま]王と相対する場面で幕を開ける。義元に対し閻魔王は桶狭間のことを「語って聞かせろ」と迫る。そして「修羅道に落ちるべき」と義元を地獄に落とそうとする。雪斎は「仏教も勉強も大切にしていた」と義元の功績を訴え、その結果、一行は極楽浄土に向か
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針金×フェルトで自由に物語表現 作品展27日開幕 静岡・駿府博物館
静岡市駿河区の駿府博物館で27日、針金人形作家MASASHIさんと、立体フェルト刺しゅう作家PieniSieniさんによる作品展「素材にいのちを吹き込む-針金とフェルトの世界」(同館、静岡新聞社・静岡放送主催)が開幕する。作品の展示作業が24日、行われた。 MASASHIさんは針金を巻いて制作する表情豊かな人形など約300点を出品する。静岡県をかたどった強化段ボールをベースに人形を配置したり、サッカーの試合を表現したり、来場者が楽しめるような工夫をこらした。「人形の表情はさまざま。物語を自由に思い浮かべてほしい」と話す。 フェルトと刺しゅう糸で写実的に生物を表現するPieniSieniさ
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素材にいのちを吹き込む 針金とフェルトの世界 27日から駿府博物館
針金人形作家MASASHIさんと、立体フェルト刺しゅう作家PieniSieniさんによる作品展「素材にいのちを吹き込む-針金とフェルトの世界」(駿府博物館、静岡新聞社・静岡放送主催)が27日、静岡市駿河区の同館でスタートする。身近な素材を使って地道な作業を繰り返し、特徴を生かした独創的な世界を繰り広げる2人に、制作の過程や作品の見どころを聞いた。 (聞き手=教育文化部・名倉佐記) 色や質感 実物のように 立体フェルト刺しゅう作家 PieniSieniさん 家のあれこれをハンドメードでそろえているうちに立体フェルト刺しゅうにたどり着きました。図鑑をじっと観察して、どうやったら表現でき
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高嶋ちさ子と加羽沢美濃 好相性の共演25年 富士で5月にコンサート
バイオリニスト高嶋ちさ子と作曲家でピアニストの加羽沢[かばさわ]美濃のリサイタル活動が四半世紀を超えた。高嶋は「困った時に手を差し伸べてくれる」と信頼を寄せる。 26年前、父で音楽プロデューサーの弘之に紹介された。当時の加羽沢について「ポップスが好きでクラシックに興味のない作曲家だった」と振り返る。演奏会やテレビ番組の司会などの経験を積んでクラシックへの造詣を深め「演奏の幅が広がった」と評価する。 「私は完璧主義で、うまくいかないとすぐイライラする。彼女はふらっと生きているタイプ。見ているだけで、いい意味で力が抜ける」 多くのユニットで活動し、演奏とともにMCをこなす。中でも加羽沢とは
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記者コラム「清流」 新学期 10代にエール
本紙ひろば欄には多くの投稿が寄せられる。「社会に出ると疲れる」「大人は大変」「仕事は生きていくために仕方ないこと」。秋を過ぎると「10代の思い」宛に寄せられる高校生からの投稿には、就職に対するネガティブな意見が散見される。一通一通目を通し、希望ある未来を提示できなかった大人の一人として申し訳ない気持ちになる。 好きなことを仕事にできたら楽しいと分かっていても、誰もが実現できるわけではない。就職活動を通し、人生で初めて突きつけられた夢と現実の差に苦悩した高校生もいるだろう。 これからの季節は新学年への期待や目標に関する文章が増える。どの投稿も、どこまでもまっすぐで、とてもまぶしい。その情熱
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葉っぱ切り絵展開幕 作家・リトさん「細かさや風合い感じて」 静岡・駿府博物館
手のひら大の葉っぱを使う切り絵作家リトさんが紡ぐ心温まる物語を紹介する「リト@葉っぱ切り絵展 葉っぱの小旅行in静岡」(駿府博物館、静岡新聞社・静岡放送主催)が20日、静岡市駿河区の同館で始まった。3月3日まで。 個展初出品となる「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」をはじめ、得意とするカメレオンやウサギが登場する約40点や下絵を展示。交流サイト(SNS)に投稿した写真のパネルと葉っぱの実物が並び、来場者は繊細な切り絵の技術に見入っていた。 初日はサイン会も行い、リトさんは「実物の展示を見れば、動物の目や背景の模様の細かさが分かる。葉っぱの風合いや色の変化も感じてほしい」と話した。 月曜休館(
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木の葉に刻む優しい世界 「リト@葉っぱ切り絵」さん作品展 20日から静岡・駿府博物館
手のひら大の木の葉に広がる、動物たちの優しい世界―。葉に施した切り絵がSNS(交流サイト)を通じて多くの人を魅了する「リト@葉っぱ切り絵」さんの作品展が、20日から静岡市駿河区の駿府博物館で開催される。発達障害の一つADHD(注意欠陥・多動性障害)の特性である「過集中」を前向きに生かした創作についてリトさんが語った。 とにかく怒られてばかりの会社員でした。5年ほど前、ADHDだと診断されたときは「自分の生きづらさの原因がわかった」と、ほっとしました。逃げ出すように仕事を辞めました。 葉っぱ切り絵との出合いは2020年。自分のペースでできることを仕事にしなくてはと、切羽詰まっていた時でし
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「葉っぱ切り絵」作家リトさん個展、20日から 静岡・駿府博物館で展示作業
静岡市駿河区の駿府博物館で「リト@葉っぱ切り絵展 葉っぱの小旅行in静岡」(同館、静岡新聞社・静岡放送主催)が20日に開幕する。18日、同館で関係者が展示作業を行った。 リトさんは手のひら大の木の葉を使う「葉っぱ切り絵」作家。発達障害の一つADHD(注意欠陥・多動性障害)の特性である「過集中」を前向きに生かし、動物を主役にした作品をSNS(交流サイト)に投稿している。 本県での個展は初。四季をたどる構成で、静岡にちなんだ作品を含む、約40点を展示する。学芸員の黒井莉香さんは「リトさんが描く動物が紡ぐ心温まる物語で1年をたどってほしい」と話した。 会期は3月3日まで。観覧料は高校生以上8
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「ウィッシュ」 ディズニー100年 「願いの力」集大成
ウォルト・ディズニー・カンパニーの創立100周年を記念した最新作が「ウィッシュ」だ。世界初の長編カラーアニメーション「白雪姫」をはじめ多くの観客の心に“魔法”をかけてきたディズニーが、これまでのレガシーを引き継ぎつつ、新しいヒロインに息を吹き込んだ。 どんな願いもかなうという魔法の王国ロサス。国民はみんな18歳になるとマグニフィコ王に願いをささげ、その願いのいくつかは儀式でかなえられる。17歳の少女アーシャは、魔法を操る国王が実は国民の願いを支配していることを知る。「みんなの願いを取り戻したい」というひたむきな思いに、“願い星”の「スター」が
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Jam9が結成20周年 17日、浜松で記念ライブ
浜松市を拠点に活動する3人組音楽ユニット「Jam9」が結成20周年を迎えた。17日に記念ライブ「REUNIONZ(リユニオンズ)」を開催する。「支えてくれてありがとうという気持ちを届ける公演にしたい」と感謝を語り、来場を呼びかけた。 Jam9は2003年3月、同市出身の兄弟・ギズモとイシノユウキ、御前崎市出身のモッキーの3人で結成。10年にメジャーデビューした。目標に掲げていたアクトシティ浜松での単独ライブを19年に成功させるなど、本県を代表するアーティストとして活動。ギズモは作曲家としても才能を発揮し、22年にKing&Princeのシングル「彩り」を手がけた。 ギズモは「やめないこと
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記者コラム「清流」 元ヅカオタとして
「ヅカオタ」だった。小学生の頃に連れて行ってもらった東京・日比谷の宝塚劇場はきらびやかで、「社交場」みたいな香りがした。 ファンクラブの入り方を教えてもらった。おそろいのジャンパーを着てお茶会なるものに参加し、スターと写真に納まった。公演が終われば時間が許す限り劇場の外に並び「出待ち」をしてお見送りをした。 ブランクを経て「オタク」ではなく一ファンとして、撮りためた作品を見始めた。子育てが落ち着いたら本拠地で観劇することをよりどころにしていた。その宝塚歌劇団がいま、団員の転落死で揺れている。 黒えんび服の男役がずらりと並ぶ大階段、情熱たぎるデュエットダンス、トップだけに許される大きな羽
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1月静岡で「ドン・キホーテ」 全幕通し心温まる演目 ウクライナ国立バレエ芸術監督・寺田宜弘
ロシアによる侵攻が続くウクライナの首都キーウにあるバレエの名門「ウクライナ国立バレエ」が2024年1月、静岡市葵区で「ドン・キホーテ」全3幕を上演する。22年12月、日本人で初めてバレエ芸術監督に就任した寺田宜弘は「このバレエ団が40年近く守り続けている作品。ユーモアにあふれ、心が温かくなる演目を楽しんでほしい」と来場を呼びかけた。 寺田はかつて「キエフ・バレエ」の名で知られていたウクライナ国立歌劇場のバレエ団の芸術監督として、空襲の中でも公演を続けている。公演中でも警報が響けば地下に避難する生活。それでも国内外からキーウに戻ってきた若いダンサーたちを熱心に指導する。 11歳で単身キーウ
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工藤夕貴(富士宮在住)が新曲リリース 「父」通し人とつながる
富士宮市在住の工藤夕貴が8日、両A面シングル「父さん見てますか」「あゝ上野駅」をリリースする。「あゝ上野駅」は父井沢八郎の代表曲。28年ぶりとなる新曲発売に、「歌は人の心を動かす。歌を通じて父のファンの方々とつながることができればうれしい」と心境を語った。 プライベートでも歌ったことがなかったという父の代表曲に、司会を務めるテレビ番組で挑戦した。「お父さんが喜ぶよ」と予想以上に寄せられた反応がうれしかった。偉大な父の存在に悩み、悔しさや悲しみを抱いた時期もあったが、「父の名曲を歌い継ぐ人生も悪くない」。そう思えた。 その縁で誕生した、合田道人作詞、五木ひろし作曲の「父さん見てますか」は生
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「宝探し」自由に楽しんで 音楽、雑貨、飲食のイベント「ハミングバード」 静岡で10月28、29日
「なんかいいコト、モノあるかも」を合言葉に音楽と雑貨や飲食を楽しむイベント「HummingBird(ハミングバード)」が静岡市駿河区の広野海岸公園で28、29日に開催される。春と秋に開かれ、今回で5回目。地元住民から県外観光客まで2日間で1万人を集める人気イベントについて、主催者の小田切桂さんは「自由に“宝探し”を楽しんでほしい」と語る。 小田切さんは静岡市内にレゲエ文化が広がっていなかった約30年前、レコード店を兼ねたバー「ONE BLOOD(ワンブラッド)」をオープンした。全国から一目置かれる存在になった今、紡いできた絆への感謝を込めて企画したイベントが「ハミ
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荻野目洋子 今こそ歌にグルーブ感【ハママツ・ジャズ・ウィーク「ヤマハジャズフェスティバル」出演者に聞く㊦】
来年歌手デビュー40周年を迎える荻野目洋子が、ヤマハジャズフェスティバルに初登場する。「歌声は生ものだから変化する。この年齢だからこそのグルーブ感を大切にしたい」と意気込みを語った。 1984年にデビューして以後、「六本木純情派」や「ダンシング・ヒーロー」「コーヒー・ルンバ」など幅広い楽曲をこなし、同世代のアイドルの中でも実力派として確固たる地位を築いてきた。 ジャズとの出合いはビートルズがカバーしていた「ア・テイスト・オブ・ハニー」。原曲を聴き、ジャズに対して抱いていた敷居の高さが払拭され、ポップスに近いという印象さえ受けた。その後、エラ・フィッツジェラルドのボーカリストとしてのしなや
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記者コラム「清流」 なんのために生きる
「なんのために生きてる?」。7月のある朝、布団でごろごろしていた私の顔をのぞき込み、娘が聞いた。緊張感のない私の脳が“母親としての模範解答”を必死に探す。見透かしたように娘は追い打ちをかける。「親にそれ聞くの、夏休みの宿題なんだけど」 学校現場ではキャリア教育が盛んだ。多種多様な職業人が特別授業を行い、その仕事を選んだ理由や展望を語る。その一環が先述した宿題だ。 夢がなかったわけではない、でも夢に向かって汗水垂らした努力の記憶はない。「与えられた役割を果たすために生きてきた」と正直に答えたが不満顔だった。悔しく、悲しかった。 「後悔しないために今を生きてる」と言
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古くて新しい、破壊的で優しい― 布袋寅泰 新作「GUITARHYTHM7」
ギタリストの布袋寅泰が13日、アルバム「GUITARHYTHM 7」をリリースする。壮大な世界観を展開する布袋の人気シリーズ第7弾となる今作。「古くて新しい、破壊的で優しい、SF映画のように斬新なストーリー展開を没入感とともに味わってほしい」との思いを込めた。10月からの全国ツアー開催も決定した。 ソロ・デビューを飾った「GUITARHYTHM」から35年。「20代から60代になった。テクノロジーの進歩により時代は大きく変わったけど、6弦のギターに心を映すギタリストとしての試行錯誤は今も、またこれからも変わらない」と振り返る。「楽しいし難しい。35年後の自分は想像できなかったけど、積み重ね
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CADILLAC(静岡出身)6年ぶりアルバム あせない音 深まる信頼
静岡市出身のロックバンド「CADILLAC」が6年ぶりのアルバム「3MOBILES」をリリースした。結成から40年超、生演奏による温かみのあるサウンドを意識し続け、オリジナルメンバー3人が時代を超えたグッドメロディーを紡ぎ出している。 新作はベース、リードボーカルの米森正樹を中心に約3年かけて完成させた。王道のロックンロールを武骨に聴かせる「太陽ツイスト」から、相次いで亡くなった米森の両親にささげた「ラストダンス」まで、幅広い11曲を収録した。 CADILLACの結成は1982年。「コンテスト荒らし」と恐れられるほど活躍し、86年にシングル「悲しきラジオ・ステーション」でメジャーデビュー
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駿府城夏まつり EXILE・TETSUYAら 20日にダンスワークショップ
「駿府城夏まつり」が19、20の両日、静岡市葵区の駿府城公園で開かれる。20日には観客参加形式のダンスショーが開催され、EXILEのTETSUYA、GENERATIONSの小森隼、関口メンディーが出演する。TETSUYAは「地元の人々と触れ合うことに重きを置く。気持ちが通じ合うステージを届けたい」と意気込みを語った。 駿府城夏まつりのダンスショーは、全国各地で開催されるファッションイベント「東京ガールズコレクション(TGC)」を手がけるW TOKYOと、EXILEやGENERATIONSの所属するLDHが、ダンスを中心にした地域社会への貢献や持続可能な開発目標(SDGs)の推進を目指す「
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客が主役 商品は“ギフト” 浜松で「サンリオ展」 「いちご新聞」元編集長に聞く
ハローキティやマイメロディ、キキ&ララのリトルツインスターズなど多くのキャラクターを生み出し、「かわいい」を世界共通語に高めたサンリオ。創立から60年をたどる展示会が浜松市で開かれている。同社の象徴でもある月刊誌「いちご新聞」の編集長を長年務めてきた高桑秀樹は「主役はキャラクターではなく客。商品は“ギフト”」と理念を語った。 サンリオは1960年、山梨県で創業。大量生産された味気ない日用品が主流の高度成長期、イチゴ柄をプリントした雑貨が話題を呼んだ。内藤ルネや水森亜土ら有名イラストレーターを起用した時代を経て、オリジナルデザインを開発するようになった。 最初に登