「ウィッシュ」 ディズニー100年 「願いの力」集大成

 ウォルト・ディズニー・カンパニーの創立100周年を記念した最新作が「ウィッシュ」だ。世界初の長編カラーアニメーション「白雪姫」をはじめ多くの観客の心に“魔法”をかけてきたディズニーが、これまでのレガシーを引き継ぎつつ、新しいヒロインに息を吹き込んだ。

「ウィッシュ」
「ウィッシュ」

 どんな願いもかなうという魔法の王国ロサス。国民はみんな18歳になるとマグニフィコ王に願いをささげ、その願いのいくつかは儀式でかなえられる。17歳の少女アーシャは、魔法を操る国王が実は国民の願いを支配していることを知る。「みんなの願いを取り戻したい」というひたむきな思いに、“願い星”の「スター」が舞い降り次々と奇跡を起こす。しかし国王は、その力に脅威を感じ、恐ろしい魔法の力を強めていく。
 クリス・バック監督ら「アナと雪の女王」の制作陣が集結。劇中を彩り登場人物の心中を表現する楽曲は「アナ雪」を上回る高揚感がある。特に、日本語版のアーシャ役を務める生田絵梨花の歌声は圧巻。舞台「ロミオとジュリエット」「レ・ミゼラブル」で磨いた透明感ある歌声が、繊細な感情の奥行きまで映し出す。
 国王が一番強いのは誰か鏡に問いかけるシーンや、人間の言葉を話す動物、国民の願いがランタンのように夜空に浮かぶ場面など、脳裏に刻まれたディズニー作品が呼び起こされる。“魔法”とそれに翻弄[ほんろう]される人間の姿を通し、「願い(ウィッシュ)」が持つ力をディズニーが1世紀にわたり描き続けてきたことに気付く。
 (教育文化部・名倉佐記)

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