静岡人インタビュー「この人」 精神疾患の親を持つ子供や若者を支援する「CoCoTELI(ココテリ)」理事長 平井登威さん (浜松市中区)

 精神疾患の親を持つ25歳以下を対象に、自らの当事者体験を生かしてオンラインの居場所づくりなどの支援に携わる。8月末まで2カ月間、支援の拡充を目指したクラウドファンディング(CF)に取り組んでいる。関西大4年。4月から休学し、出身地の浜松市に滞在。21歳。

平井登威さん
平井登威さん

 -活動の経緯は。
 「自分が幼稚園の時に父親がうつ病になり、誰にも悩みを相談できず苦しい日々を過ごした。転機は大学進学後。偶然にも同じ環境の友達に出会い、一人ではないと気づけた。社会の理解や支援が不足している現状を何とかしたいと問題意識を持ち、学生団体を立ち上げて2021年9月から、チャット形式のオンラインツール『スラック』を活用した悩み相談などを始めた。活動の幅を広げるため、23年5月にNPO法人化した」
 -CFを通じ目指すものは。
「精神疾患の親を持つ子供は高い確率で、メンタルヘルスに不調を抱え不安定になりやすい。精神疾患に対する偏見などもあり、自分から『助けて』を発するのは非常にハードルが高い。自分を客観視することが難しい中、社会の側から気づく仕組みを築くことが必要だと考える」
 -具体的に何に取り組むか。
 「CF目標額は1千万円。支援対象者が居住する地域によって差が出ないよう、オンラインを活用する。スラックを用いた相談や交流など継続的な居場所の運営、精神保健福祉士や社会福祉士といった専門職を雇用してニーズに沿った支援を行う。まずは取り組みを多くの人に知ってもらうきっかけにしたい」
 -手応えは。
 「心に迫るメッセージが多数寄せられている。当事者や家族が生きやすい社会の実現へ、より本質的な課題解決に取り組みたい」
 (浜松総局・山本雅子)

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