食堂兼弁当店「飯」 家庭の味 腹いっぱい【キャンパス界隈 静岡大学~行きつけの店~】

 真っ黄色の看板に、「飯」の文字。静岡市駿河区大谷の大谷街道沿いに、ひときわ目立つ食堂兼弁当店がある。平日の昼になると腹をすかせた静岡大生や社会人がひっきりなしに訪れる。そのままずばり、「飯(めし)」が店名だ。

昼時に弁当を選ぶ学生と山崎さん(左)=静岡市駿河区大谷
昼時に弁当を選ぶ学生と山崎さん(左)=静岡市駿河区大谷
食堂兼弁当店「飯」
食堂兼弁当店「飯」
昼時に弁当を選ぶ学生と山崎さん(左)=静岡市駿河区大谷
食堂兼弁当店「飯」

 「普通の家庭料理を腹いっぱい食べさせてあげたいんだよ」
 店主の山崎克己さん(67)が2001年、大学近くに店を出したのはそんな思いからだった。唐揚げやハンバーグ、オムライスなど店内に並ぶ50~60個の弁当はS、M、Lの3サイズ。200~400円と学生の財布にもやさしい価格は当初からほぼ変えていない。
 元々広告関係の仕事をしていたが、食堂を開く夢をかなえるため仕事を辞め、魚屋や飲食店で修業。かつて住んだことのある大谷地区に念願の店を構えた。当初は5種類ほどだったメニューは常連学生の「あれも食べたい」の声に応え続け、約20種類にまで増えた。店内でも食べられるが、弁当をテイクアウトする客がほとんどだ。
 平日はほぼ毎日訪れているという大学院博士課程1年の宅間恒行さん(24)は「キャンパスから来るのは坂道が急でしんどいけど、絶対に来る。量が多いので助かっている」と感謝する。
 街道沿いにコンビニも弁当チェーンもスーパーもある中、手作りと低価格を守る山崎さん。「ぎりぎりで生活している子もいるからね。ぜいたくじゃないけど栄養バランスがいいものを出してあげたい」と学生の味方であり続ける。
       ◇
 大学キャンパス周辺の地域にはそれぞれ個性がある。「行きつけの店」と「憩いの場」をテーマに“キャンパス界隈(かいわい)”にスポットを当て、学生の様子や地域とのつながりを掘り下げる。

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