昨秋の浜松・土砂崩落盛り土規制 「適切でない対応」2件 検証会が再会見

 2022年9月に発生した浜松市天竜区緑恵台の土砂崩落に関する行政対応検証会(座長・村越啓悦弁護士)は10日、最終報告書公表後2回目の記者会見を市役所で開き、盛り土の規制を所管する市天竜土木整備事務所職員の対応2件を「適切でない」と判断したと説明した。村越座長は庁内の情報の共有、蓄積の欠如を最大の問題に挙げた。
 検証会は市が盛り土を把握した14年から崩落まで、住民から3回あった相談に対する対応を検証した。同事務所の職員は14年、盛り土斜面に「残土捨て場」の看板を立てていた土地所有者に土砂搬入の中止を求めた際、「土量は多いと感じられなかった」と主観で判断し、土の量や搬入業者の調査をしなかった。
 22年は別の職員が所有者の親族に条例に基づく届け出を求めたが、返答を待つだけで再度の連絡や経緯の調査をしなかった。
 このほか、同事務所や産業廃棄物対策課、北部都市整備事務所の対応6件について「より望ましい対応があった」と指摘した。産廃投棄や建築協定の相談に対応した際、土木部門と詳しい情報の共有などをしていなかった。
 市は関係職員のヒアリングを重ね、再発防止策をまとめる。被災者のケアを継続し、4億円超に上る現場の対策工事費用は土地所有者や関係する業者に請求する方針。
 最初の記者会見は最終報告書の概要を公表した7日に開かれたが、その後に全文を公開したことから、報道陣の求めに応じる形で改めて会見を開いた。
 (浜松総局・宮坂武司)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞