浜松市水窪民俗資料館 空調使えず10年超、施設内蒸し暑く 修繕に数千万円

 浜松市天竜区の市水窪民俗資料館の空調設備が10年以上にわたりほぼ機能しないまま放置され、修繕の見通しも立っていないことが11日までに同館などへの取材で分かった。修繕には数千万円規模の費用が必要と見込まれ、山あいに位置し入館者が低迷する同館への予算措置が後回しになっている。一部の入館者からは疑問の声も上がっている。

10年以上使えないままの空調。館内は蒸し暑さに包まれていた=7月下旬、浜松市天竜区水窪町
10年以上使えないままの空調。館内は蒸し暑さに包まれていた=7月下旬、浜松市天竜区水窪町

 7月下旬の午後、都市部より涼しいとはいえ30度近い暑さの中、館内は外気とさほど変わらない蒸し暑い空気に包まれていた。空調は使えず、同館スタッフは2階の窓を開けたり、扇風機を置いたりして対応していた。7月に同館を訪れた同市在住の60代男性は「市の施設なのにエアコンが効いていないのはおかしい」と公共施設の管理の在り方に疑問を呈した。暖房も機能しないため、冬はストーブで寒さをしのぐ。
 電気配線の設備工事を手がける地元業者によると、数年前の時点で、設置されているエアコン6台のうち2台のみ稼働していた。同館は現在、コスト面を考慮した上で修繕できないか模索している。
 同館の年間来場者数は2022年度で593人。単純計算で1日に1人か2人が訪れる程度。22年度で比較すると、同市天竜区の春野歴史民俗資料館は約1200人、同市姫街道と銅鐸[どうたく]の歴史民俗資料館(同市北区)は約4千人。他の施設よりも入館者数は大幅に少ない。閉館や統合の計画はなく、引き続き拠点の一つと位置付けている。
 市の文化施設を管轄する市博物館の担当者は「多額の費用がかかる部分をどうするか現実的な方法で考えるしかない。他の施設と比べて(水窪民俗資料館は)優先順位が下がってしまう」と話した。
 (水窪支局・大沢諒)

 水窪民俗資料館 1997年に開館。旧水窪町関連の民俗資料を展示している。同町で出土した縄文時代や戦国時代の遺物を展示しているほか、昔ならではの生活道具など近代の資料も紹介している。浜松市中区から車で約1時間50分。8月中は月曜日を除き開館。入館料は無料。

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