お盆の富士山「無計画」 荒天構わず外国人続々と 台風接近、事故懸念

 お盆の富士山は、国内在住の外国人とみられる登山者が悪天候に構わず訪れている。軽装で雨にぬれ、深夜に山小屋を訪ねたり危険な場所で火をたいたりと、無計画さやマナー違反が散見される。15日は台風7号の接近に伴い富士山は荒天の予報で、関係者は「命に関わる事故が起きないか」と危機感を募らせる。

外国人に引き返すよう求める富士登山ナビゲーター(左側)=14日午後4時ごろ、富士山富士宮口5合目
外国人に引き返すよう求める富士登山ナビゲーター(左側)=14日午後4時ごろ、富士山富士宮口5合目

 富士宮口8合目の池田館では雨が降った13日夜、消灯後の午後9時以降に何人もの宿泊予約していない登山者が扉をたたいた。同館は予約キャンセルの枠を活用して約70人の希望者を山小屋の中に入れた。大半が外国人だったという。着替えを持たない人が多く、貸し出した寝袋は水浸しになり、従業員たちは乾燥を急ぐ。池田裕之代表は「もし今晩(14日夜)来ても対応は難しい」と頭を抱える。
 14日の同口5合目登山道入り口では、案内役のナビゲーターが登ろうとする人たちに下山を促した。午後4時ごろ、外国人5人組に対してナビゲーターは「命の危険があるから引き返して」と求めた。5人は「山小屋を予約している」と食い下がり、問答の末、6合目まで行って引き返すことで落ち着いた。
 荒天時は救助要請の対応も厳しさを増す。富士宮署山岳遭難救助隊の渡辺浩行小隊長は「富士山は独立峰で強風が吹きやすい。大人でも飛ばされそうになるなど、現場にたどり着くのが難しいほどの危険が伴う場合もある」と話す。
 お盆の時期は以前から、国内企業の休暇に合わせて多くの外国人労働者が登山を企画する。山小屋は、たき火やごみの放置、大音量の音楽などのマナー違反に悩まされてきた。今季は同口5合目で、高床になっているプレハブ小屋の下で火をおこしている姿も確認されている。池田代表は「富士山に来る前に意識改革ができないものか」とこぼす。
 (富士宮支局・国本啓志郎)

 

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