男子20キロ競歩 池田向希 19日開幕 世界選手権で頂点つかみパリへ【しずスポ】

 メダルの色を最高の輝きに変える準備は整った。陸上男子20キロ競歩の池田向希(旭化成、浜松日体高出)が19日開幕の世界選手権(ブダペスト)で満を持して「金」を狙う。2021年東京五輪、22年世界競歩チーム選手権、世界選手権とも銀。「もう一つ上に行くための歩型は完成しつつある」。頂点に立てば、来夏のパリ五輪切符はほぼ手中だ。 photo03 池田向希(旭化成、浜松日体高出身) 21年東京五輪 22年世界選手権 銀 見えた金の歩型
2月日本選手権 レース運び盤石
 168センチの小柄な体を生かした高速ピッチを、いかに違反を取られず維持するか-。進化の一端が表れたのは雨と強風が吹き荒れた2月の日本選手権だ。 photo03 日本選手権20キロ競歩で圧倒的なレース運びを見せた池田向希=神戸市
注意ゼロの完成度  1キロの周回コース。向かい風の前半500メートルでペースを上げて後続を振り落とし、最後は日本代表の高橋英輝(富士通)を突き放した。その上で注意ゼロのノージャッジ。優勝6度の第一人者、高橋をもってして「注意4度の自分が一緒に歩くと審判に比べられる」と引き下がらざるを得ない完成度だった。
 池田が世界で戦うようになって6年。目の前には常に大きな壁が立ちはだかってきた。世界選手権2連覇の山西利和(愛知製鋼、静岡西豊田小出)。東京五輪では競り勝ったが、昨年はチーム選手権、世界選手権とも後塵(こうじん)を拝した。特に世界選手権は自身の仕掛けに対応され「ラスト3キロからの余力の差が金と銀を分けた」と痛感した。
王者と直接対決へ  王者の強さは瞬時に勝ち方を見極める勝負勘。「気付いた時には主導権を握られてきた」。だが、今はその勝ちパターンを崩す自信がある。「日本選手権で消耗戦に持ち込んだように歩型が安定しレース運びに幅ができた。スピードの上げ下げ、駆け引きに選択肢が生まれる」。久々の直接対決を待ち望む。
 来年1月以降にクリアする必要があるパリ五輪の参加標準記録は1時間20分10秒。自己記録が1時間17分台の池田にとってハードルは高くない。実質的に今大会で日本陸連が定める「日本人最上位でメダル」を満たせば、五輪に“当確”ランプがともるが、見据えるのはあくまで世界一。「階段を一つ一つ登って『金』を目標にできるところまできた。ベストのレースができればパリは付いてくる」
 (山本一真)

 いけだ・こうき 1998年5月3日、浜松市東区出身。浜松日体高2年で長距離から競歩に転向し、3年夏の全国総体は5位入賞。東洋大2年で世界競歩チーム選手権の20キロを制した。2021年の東京五輪で銀メダル。22年世界選手権も準優勝した。旭化成。25歳。

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