須走口、コロナ前超え 富士登山者増 ごみも大幅増 マナー周知課題

 小山町は16日までに、富士山須走口で7月10日の開山日から同31日までに1万75人(速報値)の登山者を確認したと発表した。新型コロナウイルス拡大前の2019年の同時期の人数(8817人)を上回った。一方、登山者の増加に比例してごみの不法投棄も大幅に増え、マナー周知の課題が浮き彫りになっている。

お盆期間中の1回の清掃活動で回収した登山道のごみ=13日、小山町の富士山須走口5合目
お盆期間中の1回の清掃活動で回収した登山道のごみ=13日、小山町の富士山須走口5合目

 須走口5合目で保全協力金の任意徴収業務に当たるスタッフらが人数を数えた。夜間は不在の時間もあり実際の登山者数はさらに多い可能性がある。22年度の同時期は6349人。今夏は新型コロナの制限解除やインバウンド(訪日客)の回復も含めた観光登山者の増加、富士山世界文化遺産登録10周年の記念イヤー、好天候など複数の要因が重なったと分析している。
 登山者増に伴い、開山前から懸念されていたごみの不法投棄が深刻化している。2日に1回程度、清掃、巡視活動を行う同町のガイド集団「やまぼうし」の米山千晴代表(71)によると、今年は平日に平均約20キロ、土日は平均約50キロのごみを回収。盆期間の12~13日に行った清掃では約85キロ分を集めた。安価なビニール製のかっぱや食べ残し、ペットボトル、防寒着などが特に多く、外国人登山者の中にはマナーの理解が低い人も少なくないという。
 県は不法投棄防止を訴える多言語のメッセージを表示したごみ袋を作り、県内3登山口や山小屋などで配布する取り組みを続ける。富士山の環境改善に向け、米山代表は「登山者のマナー意識の向上がまだ不十分だと思う。登山前にきちんと周知する機会を工夫して作り出していく必要がある」と指摘する。
 (御殿場支局・塩谷将広)

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