女子柔道、普及へ交流会 静岡県協会が18年から開催 

 静岡県内で女子柔道の普及に向けた取り組みが続けられている。県柔道協会は2018年、普及委員会に女性部会を設置。年に一度、県内の小学生から一般までの女性柔道家が交流する女性柔道交流会を開くなど精力的に活動している。男性の選手や指導者の一層の理解も求められる中、女性部会が生み出してきた交流の場は約5年を経て各地に根付きつつある。
 6月中旬、静岡市葵区の北部体育館。5回目となる年1回の女性柔道交流会が開かれた。参加者は実際に組み合う練習のほか、メンタルサポート講座や日本スポーツ協会が考案した楽しみながら体を動かすプログラムを体験。小学生から60代まで幅広い世代の女性柔道家やその家族、指導者らが柔らかな空気の中で汗を流し、親交を深めた。
幅広い世代の女性柔道家が親交を深めた女性柔道交流会=静岡市葵区の北部体育館
 交流会後のアンケートで年に複数回の開催を望む声が増えるなど、好評なイベントとして定着した。主催する同協会女性部会の菊池としえさん(50)は、県内の各地域でも同様の交流の場ができることを望み、部会の委員らと活動を続けてきた。地道な取り組みは実を結び、徐々に女性柔道家の輪が広がり始めた。
全日本柔道連盟の県内登録者数
 県西部で道場を開く坂中優理子さん(36)は当初、外部とのつながりが少なく合同練習先に苦労したが、交流会をきっかけに解消された。外部との練習機会が増えたことで、所属する女子選手もほかの道場の選手とネットワークを構築できているという。結婚を機に静岡に移住し、小さな子どもと通える道場が分からず困っていた女性がSNSで坂中さんを見つけ、今では共に指導に携わっているという例も。「柔道愛の強い隠れた女性柔道家を発掘できうれしく思う」と話す。
 ただ、県柔道協会によると、全日本柔道連盟に登録している本県の女子選手数は、まだ高校生以下では男子の約3分の1、大学・一般では約5分の1以下にとどまるのが実情だ。菊池さんは県内の女性柔道家のネットワーク構築に一定の手応えを得つつ、取り組みを全国に広げたいと考えている。男性選手や指導者の理解も欠かせないが、交流会にはだんだんと男性指導者の参加も増えてきたという。
 菊池さんは「男性の理解も得ながら、幅広い世代の女性にとって柔道がしやすい環境を整備したい」と言葉に力を込めた。
 (社会部・大村花)

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