高齢者の家で本音トーク 焼津高生、地域課題解決へ学習 福祉の現実向き合う好機

 焼津高(焼津市中港)の生徒たちが本年度、地元のお年寄りとの交流を通じ、高齢者を取り巻く地域の課題を掘り起こす活動に取り組んでいる。一人一人に担当の生徒を割り振り、自宅を訪ねたり、一緒にレクリエーションをしたりして信頼関係を築いた上で本音を探り、課題解決に生かすことを目指す。将来福祉の道を志す生徒たちは、普段の授業では知ることが難しい現実に向き合う機会として前向きに臨んでいる。

松永さん(右)と談笑する菅沼さん(中央)と浅原さん=焼津市中港3丁目
松永さん(右)と談笑する菅沼さん(中央)と浅原さん=焼津市中港3丁目


 同校では初の試みで、福祉を学ぶ2年生18人が参加している。同校周辺に住む12人の高齢者一人一人について2人一組の担当を決め家庭訪問と交流会を各2回行った上で、10月の文化祭に招待する。交流を通じて学んだ成果はまとめて、来年2月に校内で発表する。
 7月中旬には2回目の家庭訪問が行われた。焼津市中港3丁目で茶道教室を開く松永みち子さん(81)宅には菅沼玖成さん(17)と浅原綾香さん(17)が訪れテーブルを挟んでくつろいだ雰囲気で談笑した。困り事はないか尋ねると、松永さんは近くにスーパーがないとして「子どもからは車の運転はもうやめてと言われるが、歩いて行くには遠いし」と本音を漏らした。1人暮らしで不安なことを聞かれると、週2回の茶道教室に通う大勢の生徒たちの存在を挙げて「周りのサポートがないと生きていけない」と語った。
 介護士を目指す菅沼さんは「高齢者とこんなに深く触れ合う機会はなかった」と今回の学習に手応えを感じている様子。浅原さんは介護現場の体験会にも参加したが、家庭で談笑しながら学ぶ機会に「将来の役に立つ」と感想を述べた。
 同校常勤講師の須藤晶子さんは「高齢者から困り事を聞き取り、課題を見つけて、その解決策を生徒自らが考えてくれたら」と狙いを示す。
 (焼津支局・福田雄一)

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