記者コラム「清流」 残されたハコ

 行政が建てた「ハコ」の行き場が失われている。浜松市天竜区水窪町の水窪民俗資料館で長年にわたり、空調のほとんどが機能していない現状が明らかになった。設備の修繕にかかる膨大な費用を賄うことができず、十分な運営ができないハコは増えるだろう。
 規模や運営の形は水窪民俗資料館と異なるが、国立科学博物館(東京)は運営費の支援を目的にしたクラウドファンディングを始めた。ハコの管理に関する課題は県内外で急増するし、再編の動きも加速する。
 課題が膨らむ一方、明るい動きもある。浜松市の民間企業が今月、閉鎖した市有施設を合宿向けの施設に改装した。地元住民とタッグを組んで実現した。残されたハコを遺物にするか、新たな行き場を与えられるか。選択肢はある。
 (水窪支局・大沢諒)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞