浜松・湖西で静岡県総合防災訓練 南海トラフ巨大地震想定、連携検証
発生から100年が経過した関東大震災にちなみ制定された「防災の日」(1日)に合わせ、静岡県総合防災訓練が3日、浜松、湖西両市を主会場に行われた。南海トラフ巨大地震の発生を想定して住民主体の避難所開設訓練を展開したほか、物資輸送、救護所・救護病院の開設訓練などを繰り広げ、住民や行政、関係機関との連携態勢の検証に取り組んだ。
浜松市中心部の市立小中一貫校「浜松中部学園」(中区)には16町の自主防災隊代表者や市職員ら約170人が集まり、避難所の開設運営訓練を行った。体育館出入り口で次々と訪れる避難者の体温や健康状態を同隊員が確認し、地区ごとに体育館内に案内した。避難所の運営訓練は初めてという同区田町の自主防災隊の木下正隊長(71)は「まともに訓練できるのは4年ぶり。実際の災害時はもっと大変。経験して体で覚えないと自分や家族を守れない」と気を引き締めた。
県広域受援計画に位置付けられる物資輸送の代替拠点での初訓練も実施した。政府などが被災地からの要請を待たずに物資を送る「プッシュ型支援」を想定。代替拠点の西濃運輸浜松支店と各避難所をつなぐ物資輸送や受け入れの態勢を確認した。湖西市の湖西運動公園では、倒壊家屋からの救出救助訓練やヘリによる広域医療搬送訓練などを行った。
訓練視察後の講評で、川勝平太知事は避難所に届いた物資の受け取り場面を振り返り、「誰もリーダーシップを取らないのは問題だと思った。市職員がリーダーシップを取るとだいぶ違うのではないか」と課題を指摘。浜松市の中野祐介市長は「自主防災隊を中心に避難所運営訓練をした。どういう役割分担で誰が中心となるか、態勢を改めて確認したい」とした。
(社会部・吉田史弥)