中性子センサー開発 建造物内部の劣化を検査 静大情報学部・増沢講師

 静岡大情報学部の増沢智昭講師(40)の研究室は、エックス線では調べにくい橋やトンネルのコンクリート内部といった建造物の劣化を検査できる「中性子イメージセンサー」の開発を進めている。7月に浜松市で最終選考会が開催されたビジネスプランコンテストで最優秀賞に選ばれた。事業化して研究を加速させ、5年後の実用化を目指す。

中性子イメージセンサーの開発に取り組む増沢智昭講師=浜松市中区の静岡大浜松キャンパス
中性子イメージセンサーの開発に取り組む増沢智昭講師=浜松市中区の静岡大浜松キャンパス
中性子を高感度で捉えるイメージセンサー
中性子を高感度で捉えるイメージセンサー
中性子イメージセンサーの開発に取り組む増沢智昭講師=浜松市中区の静岡大浜松キャンパス
中性子イメージセンサーの開発に取り組む増沢智昭講師=浜松市中区の静岡大浜松キャンパス
中性子イメージセンサーの開発に取り組む増沢智昭講師=浜松市中区の静岡大浜松キャンパス
中性子を高感度で捉えるイメージセンサー
中性子イメージセンサーの開発に取り組む増沢智昭講師=浜松市中区の静岡大浜松キャンパス


 中性子はエックス線に比べて金属を透過しやすく、水などの水素が含まれる物質は透過しにくいため、建造物の内部を詳しく調べることができる。一方で、持ち運び可能な検査装置の実現には、エネルギーの小さい中性子を検出する高感度センサーが必要だった。
 増沢講師は人工ダイヤモンドの半導体を使って、中性子を検出する厚さわずか50ミクロンのセンサーを開発した。中性子を、電気を帯びた「荷電粒子」に変換する機能と、荷電粒子を検出する機能を一体化することで高感度化に成功した。
 今後、点のセンサーをつなげて面で中性子を検出する技術や、センサーを動かしてスキャナーのようにデータを集める手法を研究する。土壌の水分含有量を調べる実証実験なども進める。
 増沢講師は「老朽化が怪しい場所を探す技術は進歩しているが、詳しく内部を検査する技術は現状では限界がある。現場でリアルタイムに調べられる装置の開発につなげたい」と強調した。
 (浜松総局・白本俊樹)

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