静大衛星6機目完成 米スペースX搭載へ 宇宙エレベーターやごみ除去の実験に活用

 静岡大工学部の能見公博教授の研究グループは7日、超小型人工衛星「STARS-X(スターズエックス)」の完成を発表した。宇宙開発競争が世界で激化する中、問題になっている宇宙ごみ(デブリ)の除去や、地上と宇宙ステーションを結ぶ「宇宙エレベーター」のケーブル伸展技術の確立に向けた実証実験に使用する。

完成した超小型人工衛星「STARS-X」を紹介する静岡大工学部の能見公博教授=7日午後、浜松市中区の同大浜松キャンパス
完成した超小型人工衛星「STARS-X」を紹介する静岡大工学部の能見公博教授=7日午後、浜松市中区の同大浜松キャンパス
静岡大の超小型人工衛星の開発・運用状況
静岡大の超小型人工衛星の開発・運用状況
宇宙空間で実証実験を行う「STARS-X」のイメージ図(静岡大・能見研究室、STARS Space Service提供)
宇宙空間で実証実験を行う「STARS-X」のイメージ図(静岡大・能見研究室、STARS Space Service提供)
完成した超小型人工衛星「STARS-X」を紹介する静岡大工学部の能見公博教授=7日午後、浜松市中区の同大浜松キャンパス
静岡大の超小型人工衛星の開発・運用状況
宇宙空間で実証実験を行う「STARS-X」のイメージ図(静岡大・能見研究室、STARS Space Service提供)


 STARS-Xは1辺が約50センチの立方体。高度約500~600キロの宇宙空間で2機に分離し、内部のケーブルを約1キロ伸ばして約10センチの小型ロボットをケーブル上で動かす。立方体の側面から10センチ四方の板状の模擬デブリを発射し、50~60センチ四方ほどの網で捉える実験を行う。
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の筑波宇宙センター(茨城県つくば市)で振動実験などを行った後、米スペースXのロケット「ファルコン9」に載せて宇宙に放つ。ロケットの発射時期は未定としている。
 STARS-Xは2021年1月、静大衛星の6機目として開発を発表した。10センチ角程度だった従来の衛星に比べて大きく、内蔵ケーブルも長いことから、より実用化を見据えた実験ができるという。
 同日、浜松市中区の同大浜松キャンパスからJAXA筑波宇宙センターに発送した。当初は22年中にJAXAのロケットで打ち上げる計画だったが、搭載ロケットが変更になり、代替機を見つけるのに時間を要したという。能見教授は「夢の乗り物の実現に1歩でも進み、世界的な課題になっているごみの除去へ技術も獲得したい」と話した。
 (浜松総局・松浦直希)

 

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