静岡人インタビュー「この人」 日本統治下の台湾の歴史について調査、発表した 土山祐実さん(浜松市東区)

 日本統治下の台湾について、子どもの教育や戦争の影響などを調査し、7月末から8月上旬にかけて浜松市役所で行われた同市遺族会のパネル展に合わせて発表した。台湾在住者や、日本に引き揚げた高齢者らへの聞き取りを2020年から行っている。発表では聴取結果をまとめ、来庁者らの注目を集めた。台湾大3年。23歳。

土山祐実さん
土山祐実さん

 ―発表内容は。
 「日本から渡った内地人と、台湾の住民で漢人系の本島人とで初等教育が異なっていたことや配給に差があったことなどを説明した。当時の生活などを古老たちにインタビューした動画は、QRコードを貼り出して会場に来た人がスマートフォンなどで確認できるようにした」
 ―台湾の歴史などを調べようと思ったきっかけは。
 「高校時代、日本による統治の歴史を学んだ。ただ、朝鮮と台湾では現地の人たちの反応が異なるように感じた。台湾への統治はどのようなものだったのかより深く知りたいと考え、留学することにした」
 ―聞き取り調査を進める中で印象に残っていることは。
 「台湾の人たちは親日的だという印象がある日本人は多いかもしれない。ただ、インタビューに応じた高齢者の1人は、国民党による統制よりは日本統治の方がましだったに過ぎないという趣旨のことを言っていた。この話を聞いて、実際に人に会い聞き取りをしなければ分からないような、あまり知られていないことがまだまだあると考えるようになった」
 ―今後の目標は。
 「台湾の歴史についての調査や研究を深めるため、大学院への進学などを考えている。将来的にも、歴史を伝える役割を果たし続けたい」
 (浜松総局・松浦直希)

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