自動追尾カメラで授業配信 磐田市、小中6校で実証実験 不登校児ら向け 対面に近い臨場感

 磐田市の草地博昭市長は14日の定例記者会見で、人工知能(AI)で人の動きを検知して自動追尾するカメラを小中学校の授業のオンライン配信で活用する実証実験を始めると発表した。不登校などで教室に行けない児童・生徒でも、対面に近い臨場感で授業が受けられる環境を目指す。

自動追尾機能付きカメラの実演を行う草地磐田市長=市役所
自動追尾機能付きカメラの実演を行う草地磐田市長=市役所


 カメラは写った人の顔をAIで認識し、動きを追うようにレンズ部分が自動で上下左右に向きを変える。ズーム機能も備える。市教委は9台を計87万2千円で購入。小中各3校を研究校として1台ずつ配備し、今月から活用する。残り3台は市教委が管理し、利用を希望する学校に貸し出す。
 市教委学校教育課によると、不登校の小中学生は年々増加していて、3月末時点で約480人。このほかに、登校しても学級に入れず保健室やほかの部屋で過ごす子どももいる。
 こうした子どもに対応するため、これまでは教員用のタブレット端末に内蔵されたカメラを利用して、対面授業とオンライン配信を同時に行っていた。ただ、カメラが固定式のため、黒板だけの映像になるなど授業やクラスの雰囲気が伝わりにくいという。草地市長は「追尾カメラの導入でオンライン配信の質が高まり、対面授業を受けられない子どもの学びもより深まる」と期待した。
 全校集会や生徒会活動のクラスへの配信、学習成果や合唱の発表会といった学校行事の保護者への配信などの活用も想定する。導入効果を検証し、来年度以降の拡充を検討する。
 (磐田支局・八木敬介)

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