記者コラム「清流」 本当の社会復帰

 「社会に受け入れられるようになってやっと“社会復帰”なんです。塀を一歩出ただけではまだ違うんです」。静岡刑務所(静岡市葵区)の職員から、刑期を終えた受刑者が直面する現実の厳しさを聞いた。
 法務省のまとめによると、刑務所の再入所者のうち約7割が再犯時に無職だという。出所後に雇用され、社会に居場所を確保し続けることがいかに重要かが分かる。路頭に迷って再び罪を犯し、刑務所に戻ってくるようでは社会復帰したとはいえないだろう。
 「社会に戻ってしっかり生活している姿を見るとうれしいんですよ」。刑務所というと厳しく無機質なイメージだったが、職員の言葉からは犯罪を減らすという覚悟とともに受刑者一人一人の人生に向き合う人間味を感じた。人を支えられるのは、やはり人である。
 (社会部・小沢佑太郎)

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