実績でレッテル消して 内閣改造で女性閣僚増【とうきょうウオッチ 記者余論】

 第2次岸田再改造内閣が13日に発足し、県内からは上川陽子氏(70)=衆院静岡1区=が外相に起用された。目玉の一つは、過去最多の5人と並んだ女性閣僚の積極登用。岸田文雄首相は記者会見で「人事は適材適所だ」と説明したが、刷新感や女性活躍のアピールを念頭に置いたのは明らかだ。

外相に起用され、初登庁した外務省で報道陣の取材に応じる上川陽子氏=13日、外務省
外相に起用され、初登庁した外務省で報道陣の取材に応じる上川陽子氏=13日、外務省

 本来は、能力のある人を起用したら女性が増えたというのが理想だろう。ただ、閣僚人事では、所属する派閥の力によって入閣できる人数が決まる上、派閥内でも期数が多い議員が優先される慣例がある。女性枠を「逆差別」ととらえる向きもあるが、そもそも自民党の女性国会議員の比率が11・8%であることを考えると、枠がなければ登用を増やせないという事情が見える。
 5人のうち初入閣の3人は世襲議員でもある。庶民感覚が分かるのかと批判されがちだが、同僚議員は「子ども政策の勉強会を立ち上げるなど、ちゃんと活動してきた人もいる。2世だからといろいろ言われ、逆に大変だったのでは」と話していた。女性だから、男性だから、世襲だから―。属性によるレッテルを貼り、評価の目を曇らせてもいけない。
 県内の国会議員に上川氏の評価を尋ねると、与野党問わずに人格や、法相を3度務め上げた実績を称賛する声が上がった。外相起用の理由を「女性」であることだけと考える人はいなかった。確かな実力と実績があれば、レッテルはかき消される。政治は結果とも言う。新閣僚には着実な仕事を求め、報道側も先入観なく評価していきたい。
 (東京支社・山下奈津美)

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