「フェンシングの沼津」形に 関係者手応え 地元拠点選手が全日本準V
沼津市の香陵アリーナ(市総合体育館)で初開催された全日本フェンシング選手権は最終日の18日、決勝が行われ、沼津信用金庫(同市)所属の脇田樹魅選手(24)が、女子サーブルで準優勝に輝いた。官民連携で「フェンシングのまち」を掲げ、競技の普及に携わってきた関係者は「思い描いた姿が形になった」と沼津を拠点にする選手の躍動に、これまでの活動の手応えを口にした。
沼津市は2019年に日本フェンシング協会と連携協定を締結し、20年には官民で「フェンシングのまち沼津推進協議会」を発足。男子サーブル元五輪代表の長良将司さん(46)を市職員として採用し、21年にはJR沼津駅前に専用施設もオープンさせて選手の技能向上に努めてきた。大会開催に尽力した県フェンシング協会の田村儀昭会長(71)=同市=は「沼津の選手が決勝の舞台に立ち、夢のような気持ち」。頼重秀一市長も「市が狙うスポーツ振興の形ができた」と結果に笑顔を見せる。
地元企業もバックアップしてきた。脇田選手が所属する沼津信金の鈴木俊一理事長は「準優勝は官民連携の成果」と強調する。脇田選手の上司、岡正浩さん(50)の妻真弓さん(42)は応援パネルを50枚作成して観客席に配り、職員の家族も会場を盛り上げた。
脇田選手は小中学生の練習相手や助言役になり、地域のレベル向上も支えてきた。競技に取り組む木村凜之介さん(加藤学園暁秀中3)は「脇田選手のいい練習相手になれるよう頑張りたい」と刺激を受ける。
例年使用する東京の会場が引き続き改修で使えないことから、来年も沼津で開催する動きもある。協議会の杉沢教人会長(48)は「ジュニアの選手が好成績を残し、好循環が生まれている。世界大会誘致に向けた経験にもなった」と意欲を語った。
(東部総局・尾藤旭)