不登校の小中学生増加 静岡県教委が協議会、多様な教育選択可能に

 静岡県内で不登校の小中学生が増え続ける中、県教委がフリースクールとの連携強化に乗り出した。学校に行きづらい児童生徒の受け皿としての役割が大きくなっていることを踏まえ、このほど県内の関係団体と共に協議会を立ち上げた。学校以外の施設にも通っていない不登校の子どもたちは多く、多様な教育の機会を選択できるようにするためネットワーク構築を急ぐ。
静岡県内不登校(年間30日以上の欠席)児童生徒数の推移
 県教委義務教育課によると、年間30日以上欠席した不登校の児童生徒数は毎年過去最多を更新している。直近の統計がある21年度は県内公立の小学校2642人、中学5388人の計8030人。16年度の4606人から7割以上増えた。不登校割合はそれぞれ1・46%(全国平均1・30%)、5・86%(同5・00%)と全国の割合を上回った。
不登校の児童生徒の支援に向け、関係者が意見を交わした連携協議会の初会合=9月上旬、県庁
 民間のフリースクールの重要性が増す一方、県教委が最大の課題と位置付けるのが学校外の学びの場とつながっていない子どもの多さだ。不登校の児童生徒のうち、約3割がフリースクール、市町が設置する教育支援センターのいずれにも通っていないという。
 学校側からは「地元にあるフリースクールの情報が少なく、保護者への紹介が難しい」、フリースクール側からは「不登校で困っている子どもがどこにいるのか把握できない」との声が上がっていて、連携や情報共有を密にすることで児童生徒の状況に応じた教育の機会を提供していく方針だ。
 9月上旬に県庁で初開催した連携協議会の会合には、県内24のフリースクール、市町教委、教育支援センターの担当者計約80人が参加した。フリースクールの担当者が自分の施設や取り組みを紹介した上で、意見交換を行った。3者間の連携不足に加え、フリースクールの運営資金不足などの課題が挙がった。
 今後は年1回の県内全体の会合に加え、地域ごとの会議の開催を検討するという。県教委義務教育課の宮城新太教育主査は、フリースクールと学校の関係を「子どもの学びを支えるパートナー」と指摘し、「地域ごとに連携を強め、不登校に対応した教育環境を整えたい」と話した。
 (政治部・大沼雄大)

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