浜松市、沿道の崩落対策強化 災害復旧予算負担重く 台風15号

 昨年の台風15号による豪雨から23日で1年。浜松市天竜区では今も道路9カ所で通行規制が続く。今年6月の豪雨と合わせると、現時点の通行規制は50カ所以上、災害復旧費の予算額は約160億円と前例のない規模。近年勢いを増す雨が山間部で無数の土砂崩落を起こしていて、市は財政負担抑制のためにも沿道の崩落対策を強化している。

浜松市の災害復旧の推移
浜松市の災害復旧の推移

 台風15号は市街地で広範囲の浸水被害を起こしたほか、春野と天竜の観測点でそれぞれ過去最高の1日降水量284ミリと264ミリを記録し、天竜区を中心に土砂崩落が多発。道路47カ所が一時通行規制された。流失した二俣川の嘯月(しょうげつ)橋は、橋桁のない人道橋として再建計画で、着工はこれから。横川地域などで道路5カ所の全面通行止めが続く。災害復旧費の予算は約60億円に上り、大半を土木分野が占める。
 6月2日の豪雨は、春野と天竜の1日降水量が500ミリ、427ミリと過去最高をさらに更新。土砂崩落箇所は台風15号を上回り、道路は一時100カ所以上が規制され、ようやく半分程度が復旧した。この豪雨に関する災害復旧費の予算は約100億円に上る。
 市によると、市町村合併直後の2006年度に4億3千万円だった災害復旧費の最終予算額(補正、繰越事業費含む)は近年は30億円超。市道路保全課は「これまで崩れなかった斜面が崩れている」と豪雨の深刻化を重く見て、本年度は巡視での崩落危険箇所の洗い出しを強化した。特に崩落の影響が大きい斜面から予防工事を行う。同課は「崩落後の復旧は経費が膨らむ。できる所から予防を進める」としている。
 (浜松総局・宮坂武司)

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